ガスプラ (小惑星)

ガスプラ (951 Gaspra)

ガスプラは、内惑星帯の近くに位置するS型小惑星であり、1916年にグリゴリー・ネウイミンによってシメイズ天文台で発見されました。彼は、黒海沿岸のリゾート地ガスプラに因んでこの名前をつけました。この小惑星は、1991年10月29日にNASAのガリレオ探査機によって初めて近接観測が行われ、飛行中のガリレオがガスプラの周りを通過し、その詳細なデータを地球へ送信しました。

ガスプラの表面は、大小のクレーターに加え、平坦な地形や凹地が特徴的です。特によく知られているDunne Regioなどの地域は、幅5 × 7 km、深さ200 m以下の平坦な部分であり、衝突によって形成されたのか、元々の母天体の名残なのかは不明です。表面の重力が弱く不均一なため、クレーターはその特性によって特異な形状を成しています。

この小惑星は、特にカンラン石と輝石が豊富であり、表面の成分比率は4対1から7対1とされています。しかし、ガスプラの表面には、他の大きな小惑星に見られるような巨大クレーターは存在していません。この点については、フローラ族と呼ばれる現象によって、比較的最近に衝突があったことが関係していると考えられています。また、クレーター形成率を分析することで、表面が約2千万年から3億年の間に形成されたことが示唆されています。

さらに、ガスプラの表面には幅100 - 300 m、長さ2.5 kmの溝が観察され、これも衝突によって形成された可能性が高いと考えられています。これにより、ガスプラがラブルパイルではなく、むしろ堅固な岩体であることが示唆されています。溝の形成は、底にある岩石が破壊された結果と見られています。また、ガスプラの表面がどれだけレゴリス（微細な土壌層）で覆われているのかは、まだ完全には解明されていませんが、レゴリスが多く分布している可能性が高いとされます。

ガスプラの極は、赤経0時40分±10分、赤緯27±2度に位置し、黄道座標系での値に変換されると(β, λ) = (21°, 20°)、軸傾斜角はおよそ72度です。ガリレオ探査機による近接観測では、盗名的による影響を受けすぎずに通過したため、ガスプラの質量に関する具体的なデータは得られませんでした。

ガスプラの表面積は約525平方kmで、これは香港の陸地部分のおよそ半分の面積に相当します。観測データに基づき、ガリレオは1991年にガスプラから1,600 kmの距離で接近し、57枚の画像を送信しました。最高解像度で得られた画像は約54 m/pixelであり、地表の多くを捉えることに成功しました。特に南極付近の領域は画像に含まれませんでしたが、全体の80%を確認しています。

ガスプラの興味深い点の一つは、その地形に関連する名称です。Dunne RegioやNeujmin Regioなど、著名な天文学者にちなんで名付けられた地域が存在します。また、クレーターの一部には、世界中の温泉地からインスパイアを受けた名前がつけられています。このような特徴を持つガスプラは、天文学において重要な存在となっており、今後の研究の対象となるでしょう。

もう一度検索