ガッサントリカブト

ガッサントリカブト（Aconitum gassanense）

ガッサントリカブトは、キンポウゲ科トリカブト属に属する植物で、主に日本の東北地方に分布する有毒の疑似一年草です。2003年に新種として記載され、特に山形県の月山や朝日連峰で見られます。同じトリカブト属のオクトリカブト（A. japonicum subsp. subcuneatum）と似ていますが、茎や葉の特性から容易に識別することができます。

特徴

この植物の地下には美しい塊根があり、その形状はニンジンに似ており、倒卵形をしています。根の長さは約5cm、直径は1.5cm程度です。茎は高さ100cmから200cmに達し、基部では直径が8-12mmになります。茎や葉には短い屈毛が生えており、葉は柔らかく、薄い質感があります。花が咲くころには根出葉は枯れることが多く、そのため中部の茎葉が主に観察されます。

葉は膜質で、半円形の形状をしており、長さは11-18cm、幅は10-12cmになります。3つに中裂した掌状の葉が基部から切れ込んでおり、裂片には粗い鋸歯があります。葉の特徴は、無毛の表面が目立つ点で、裏面には屈毛が見られます。

花期は8月から9月にかけてで、花序は総状であり、3から4花がつきます。花の色は青紫色で、約3cmの大きさを持ちます。花は上に向かって開花し、花の構造は上萼片1個、側萼片2個、下萼片2個の5つの萼片から成っていて、雄蕊と雌蕊も存在します。果実は楕円形をし、約25mmの袋果となり、斜めに開きます。

分布と生育環境

ガッサントリカブトは日本固有の植物で、特に山形県や福島県の高山帯の温帯林や草地、渓流沿いの環境で見られます。密集した群落が形成されることがあるため、地域ごとの調査が重要とされています。また、イイデトリカブト（A. iidemotanus）と共生する場合もあります。

名称の由来

和名「ガッサントリカブト」は「月山トリカブト」を意味し、この名称は2003年に植物研究者の門田裕一によって命名されました。種小名の「gassanense」は「月山に由来する」という意味です。

保全状況

ガッサントリカブトは日本のレッドリストにおいて、絶滅危惧II類（VU）に分類されており、特に山形県や福島県でも絶滅の危険が指摘されています。これにより、植物の保全が重要視されています。

分類

この種はトリカブト亜属Subgenus Aconitumおよびサンヨウブシ節Section Flagellariaに分類されます。その他の日本産種とは異なる特徴を持ち、地理的条件や環境に適した特性が見られます。

発見の経緯

ガッサントリカブトの発見は2001年にさかのぼります。当時、山形県の研究者によって採集された標本が、後の調査によって新種であることが明らかになりました。その後も他の地域での生息が確認され、現在に至るまで研究が進められています。

これらの特性と生態から、ガッサントリカブトは日本の特殊な植物群の一員として、重要な存在として位置づけられています。

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