ガメラ対大悪獣ギロン

映画『ガメラ対大悪獣ギロン』の概要

『ガメラ対大悪獣ギロン』は、大映東京撮影所が制作し、1969年3月21日に公開された日本の特撮映画です。昭和ガメラシリーズの第5作目で、カラー映画であり、大映スコープ方式で82分間の上映が特徴です。なお、本作は同時上映として『東海道お化け道中』がありました。

あらすじ

この物語は、世界各国の天文台で観測された宇宙からの規則的な電波に始まります。天文学者の志賀博士は、その正体についての質問を否定しますが、少年の明夫とトムは天体望遠鏡で意外な光景を目撃します。それは円盤のような物体で、彼らは翌日、その円盤を探しに行くことになります。しかし、円盤に乗り込むや否や、宇宙に連れ去られてしまいます。

追跡するガメラですが、円盤は急速に速度を上げ、成層圏を超えて逃げ去ります。円盤が訪れたのは、地球よりも進んだ文明を持つ惑星でした。明夫たちはそこで出会った宇宙ギャオスに驚きますが、ギロンという怪獣がギャオスを倒す一幕があり、その後も彼らに迫るギロンから逃げ込む形で宇宙人のバーベラとフローベラと遭遇します。彼女たちは明夫たちを地球への「保存食」として使おうと目論みますが、ガメラが彼らを救うために現れます。

作品の特徴

本作はガメラが宇宙を舞台に冒険する初の作品として、監督の湯浅憲明が「子供を主役にする冒険映画」というコンセプトを体現しました。特に、アメリカでの子供向け番組向け契約に基づいて制作されたため、宇宙や怪獣の要素を強化した作劇がなされています。また、映画ブームの影響を受け、当時アメリカで流行した「怪獣惑星もの」や「キャンプ映画」スタイルが取り入れられています。

冒頭に登場する天体写真は、外国からの権利関係を考慮し、ソ連での撮影物が使用されています。さらに、ガメラが披露する「ウルトラC技」の数々は、当時の人気スポーツイベントでの競技パフォーマンスにインスパイアされています。本作で特に印象的なのは、ガメラの動きの中に見られる独特な演出で、ミニチュア撮影の工夫が随所に見受けられます。

登場キャラクター

ガメラ

本作で新たにデザインされたガメラは、3代目のバージョンで、これまでとは異なる平たい甲羅が特徴です。ラストシーンでは宇宙円盤を掴んで修理する技を見せ、観客を驚かせました。

大悪獣ギロン

惑星テラから生まれたギロンは、電子頭脳の狂いによって生じた怪獣で、巨大な刃物のような頭部と切れ味の鋭い武器を持っています。彼は、フローベラとバーベラに使役されていますが、実際には自身の意思で行動することもあります。

バーベラとフローベラ

この二人の宇宙人はテラの女性であり、明夫たちを救おうと見せかけながらも実際には地球の知識を得るために捕えようと企てます。しかし、ガメラによって計画が阻止され、最終的には悲劇的な運命を迎えます。

撮影と技術

本作は、多くの特撮が用いられており、エキスプロダクションがガメラ、開米プロダクションがギロンの造形を担当しました。演出に際する各工夫や特撮技術の工夫には限られた予算を有効活用するための努力が見られます。

キャスト

主人公の明夫役には加島信博が起用され、トム役にはクリストファ・マーフィーが出演しています。また、悪役のフローベラには笠原玲子が扮しており、銀幕で子供たちに強い印象を残しました。

まとめ

『ガメラ対大悪獣ギロン』は、ただの怪獣映画に留まらず、宇宙を舞台にした冒険や特撮技術の向上を代表する作品として、多くのファンを魅了しています。この映画は、そのユニークなキャラクターたちとスリリングな展開により、今なお多くの人々に愛されています。

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