ガラ (リンゴ)

リンゴの品種 ‘ガラ’

‘ガラ’は、ニュージーランドで育成されたリンゴ（セイヨウリンゴ）の栽培品種です。1930年代に‘キッズオレンジレッド’と‘ゴールデンデリシャス’を交配して育成され、1962年に命名されました。‘Kidd's Gala’、‘Gala Delicious’、‘Kidd's D-8’とも呼ばれています。

特徴

果実は中型で、黄色地に赤く色づきます。果肉はシャキシャキとした食感で、甘みが強いのが特徴です。‘ガラ’は様々な栽培条件で生育可能ですが、乾燥した温暖な気候を好みます。花は晩霜に耐性があり、自家不和合性に関わるS遺伝子型はS2S5です。開花期間が長いため、授粉樹としても適しています。黒星病には非常にかかりやすいですが、豊産性で、北米での収穫期は7月から9月です。隔年結果性があり、北半球と南半球から供給されるため、通常は一年中入手可能です。また、果実は貯蔵性にも優れており、適切に管理すれば5ヶ月程度の貯蔵が可能です。

果実は長円形から円錐形をしており、熟すと地色は黄色で、橙色から紅色に染まります。芳香があり、果皮はやや薄いです。果肉は黄白色で硬くシャキシャキしており、果汁が多く、甘みが強いのが特徴です。主に生食用として楽しまれていますが、調理にも利用できます。

生産

‘ガラ’はニュージーランドで開発されましたが、現在では世界中で栽培されています。1970年代初頭にアメリカ合衆国に導入されて以来、人気の品種となっています。2019年には‘レッドデリシャス’を抜いてアメリカ合衆国で最も生産量が多い品種となり、2022/2023年でも1位を維持し、リンゴ全体の18.9%を占めています。カナダのリンゴ生産予想でも‘ガラ’が品種別1位であり、全体の21.4%を占めると予想されています。ヨーロッパでも多く栽培されており、2022/2023年にはゴールデンデリシャスに次ぐ品種別第2位となっています。

歴史

1930年代、ニュージーランド北島ワイララパ地方のグレイタウンにある果樹園で、J. H. Kiddが北米輸出用のリンゴ品種開発を行いました。その中で‘キッズオレンジレッド’を種子親、‘ゴールデンデリシャス’を花粉親とした交配を行いました。J. H. Kiddは選別を行う前に亡くなりましたが、New Zealand’s Department of Scientific and Industrial Research の Don McKenzie がこれを受け継ぎ、有望な株を選抜し、Kidd's D-8と名付けました。その後、商業栽培が行われるようになり、1962年にこの品種は‘ガラ’と命名されました。

派生品種

リンゴは接ぎ木によって増やすため、同じ品種は遺伝的に同一なクローンですが、まれに分裂組織に突然変異が起こって枝など木の一部が他と異なる性質を示すことがあります。これは「枝変わり」と呼ばれます。‘ガラ’は突然変異を起こしやすく、枝変わりに由来する品種が200以上知られています。

枝変わり

特によく知られているものとして、‘ガラ’よりも色づきが良い‘ロイヤルガラ’があります。この枝変わり品種は、1971年にニュージーランドのH.W. Ten Hoveによって発見されました。ニュージーランドを訪問したエリザベス2世がこの品種を気に入ったため、この品種名がつけられました。‘ロイヤルガラ’は、ニュージーランドのリンゴ輸出における主要品種となっています。

‘ガラ’の枝変わり品種として、ほかに‘Alpigala’、‘Annaglo’、‘Brookfield’、‘Autumn Gala’、‘Big Red Gala’、‘Cherry Gala’、‘Corder Gala’、‘Extra Red Gala’、‘Fulford Gala (Regal Gala)’、‘Gala 2013’、‘Gala Decarli’、‘Galafresh’、‘Gala MGCP’、‘Gala Must’、‘Galaxy’、‘Imperial Gala’、‘Grande Gala’、‘Harry Black Gala’、‘Improved Gala’、‘Lydia's Gala’、‘Magnum Gala’、‘McLaughlin Gala’、‘Regala’、‘Reuvers Gala’、‘Ruby Gala’、‘Scarlet Gala’、‘Stafford Gala’、‘Star Gala’などがあります。‘ロイヤルガラ’を含めてこれら‘ガラ’の枝変わり品種の、さらなる枝変わりに基づく品種も多数存在します。

交配

‘ガラ’を交配親とした品種も多く育成されています。‘ガラ’を種子親としたものとして‘きざし’、‘さんさ’、‘Delfloga’、‘La Flamboyante’、‘Nevson’、‘Nicoter’、‘PremA96’、‘PremA153’、‘Scired’、‘Sunburst’、‘X-4982’、‘X-6163’などがあり、‘ガラ’を花粉親としたものとして‘もりのかがやき’、‘Civni’、‘Galamac’、‘Modi’、‘Sciros’などがあります。

‘ガラ’の枝変わり品種である‘ロイヤルガラ’を種子親、‘ブレイバーン’を花粉親としたものとして‘サイレート’、逆に‘ブレイバーン’を種子親、‘ロイヤルガラ’を花粉親としたものとして‘サイフレッシュ’や‘PremA280’があります。

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