ガリオット

ガリオット（Galiot、Galliot）は、歴史的に複数の異なるタイプの帆船を指す言葉です。ポルトガル語ではガレウタ（Galeota）とも呼ばれます。

地中海におけるガリオット

地中海で使用されたガリオットは、小型のガレー船の一種でした。1本または2本のマストを持ち、約20本の櫂を備えていました。帆と櫂の両方を推進力として利用し、機動性に優れていました。軍艦として運用されることもあり、その場合は小型の大砲を2門から10門程度、そして50人から150人程度の兵士を乗せていました。

ネーデルラントのガリオット

17世紀以降、ネーデルラント連邦共和国（現在のオランダ）で使用されたガリオットは、地中海のものとは異なる特徴を持っていました。ケッチのような1本または2本のマストを備え、フリュートのような丸い船底を持っていました。船体は以前のタイプよりも50トンから300トンほど重く、横転を防ぐためのスタビライザーが装備されていました。これらのガリオットは主にドイツとの交易に使用されました。これにより、大型化と安定化が図られたと考えられます。

フランスのガリオット

フランスにおけるガリオットは、コルベット程度の大きさで2本のマストを持つ臼砲艦の一種でした。これは、地中海やネーデルラントのガリオットとはまた異なるタイプでした。

海賊とガリオット

歴史家のフィリップ・ヘンリー・ゴスの著書『Age of Piracy』によると、1504年にローマ教皇の船を2隻拿捕したオリック・レイス率いる海賊船はガリオットであったとされています。この記述からも、ガリオットが当時の海上活動において重要な役割を果たしていたことが伺えます。

このように、ガリオットは時代や地域によって異なる形態を持ち、その用途も軍事から交易まで多岐にわたっていました。その多様性こそが、ガリオットという言葉の持つ特徴と言えるでしょう。

もう一度検索