ガリレオ工房

ガリレオ工房とは

ガリレオ工房は、「科学の楽しさをすべての人に」をモットーに活動するNPO法人です。2002年に設立され、東京都小金井市を拠点に、身近な材料でできる実験を開発し、その情報を会報、新聞、雑誌、書籍などを通じて発信しています。また、開発された実験を基にした実験教室や実験ショーを日本各地、さらには海外でも実施しており、テレビ番組の実験監修も手がけています。

歴史

ガリレオ工房のルーツは、1986年1月に発足した「物理教育実践検討サークル」に遡ります。当時、国際基督教大学高等学校の物理教師であった滝川洋二は、学校での理科教育の地位低下に危機感を抱いていました。その声かけにより、後藤道夫、米村でんじろうなど、教育関係者が集まりサークルが発足しました。

サークルは、月に一度のペースで例会を開催し、会員向けに会報「通信」を発行していました。その後、サークルの活動をまとめた書籍『物理がおもしろい!!』が出版されることになり、覚えやすい名称として「ガリレオ工房」に改名されました。

「ガリレオ」の名前の由来

ガリレオ工房の名前は、ガリレオ・ガリレイに由来します。滝川洋二は、ガリレオが以下の点において科学を市民に分かりやすく伝えようとしていた点を重視し、その名前を冠しました。

『新科学対話』や『天文対話』などの著作が対話形式で書かれ、科学を分かりやすく伝えようとした意図が明確であること。
当時の科学書で一般的だったラテン語ではなく、イタリア語で著作を書いたこと。
望遠鏡を自作するなど、技術や職人技を重視し、そこから科学を創造する姿勢を持っていたこと。

また、工房という名前には「実験を行う場所、新たな工夫をする場所」という意味が込められています。

設立の背景

滝川洋二は、東京学芸大学大学院在学中に「物理教育研究会(APE)」に参加した際、学習指導要領に関する議論が不足していることを痛感し、理科教育の専門家の必要性を感じました。その後、国際基督教大学高等学校で物理教師として教鞭を執る傍ら、理科教育の研究を始めました。

研究活動の一環として、滝川は「理科授業研究会」や「仮説実験授業研究会」に参加し、授業研究を深めました。これらの研究会での知見を基に、1986年1月に「物理教育実践サークル」を立ち上げました。

立ち上げ期の活動

滝川は、意欲的な理科教師に声をかけ、後藤道夫、古田豊、杉木優子などがメンバーに加わりました。特に、米村でんじろうは、ガリレオ工房での実験紹介を通じて頭角を現し、例会が米村の実験ショーのようになることもありました。

理科離れに対する提言

ガリレオ工房は、理科教育の衰退にも警鐘を鳴らしてきました。1992年の例会では、学習指導要領の改訂によって中学校理科の内容が大幅に削減されたことが報告されました。これを受けて、滝川は日本物理教育学会の学会誌などで理科教育の現状を訴え、1994年には関連学会が合同で、文部省に理科教育の縮小をしないよう提言しました。

2002年には、これまでの活動が評価され、NPO法人化するとともに吉川英治文化賞を受賞しました。

主な活動実績

青少年のための科学の祭典
1992年より、日本科学技術振興財団と日本物理教育学会の共催で「青少年のための科学の祭典」が開催されています。このイベントは、ガリレオ工房の初期メンバーである後藤道夫が始めたものが元になっており、ガリレオ工房は全国の理科教師に参加を呼びかけ、運営に協力しています。
海外での活動
アメリカの科学教育者協会の全国大会には、1994年から1999年頃まで毎年参加し、ワークショップで実験を披露しました。2002年には、韓国で開催された「科学の祭典」にもメンバーが参加しています。
途上国での理科教育支援
青年海外協力隊としてケニアに派遣された大原ひろみを中心に、1997年より「ガリレオプロジェクト」が始まりました。ガリレオ工房の本の収益や企業の寄付を元に、現地で手に入る材料での実験授業を普及させています。

主な監修実績

ガリレオ工房は、テレビ番組や書籍の監修も数多く手がけています。

テレビ番組
所さんの目がテン!
伊東家の食卓
大科学実験
漂流兄妹〜理科の知識で大脱出!?〜
映画
容疑者Xの献身
監修書籍
『コロンブスより上手な卵の立たせ方』
『科学の常識が面白いほどわかる本 : "身近な不思議"に答える大人の科学ドリル』
『ガリレオ工房の科学マジック』
『LEDの実験&観察キットブック』

まとめ

ガリレオ工房は、設立当初から一貫して「科学の楽しさをすべての人に」伝えることを目指し、実験開発、教育活動、監修など、幅広い分野で活躍しています。理科教育の発展に大きく貢献している団体と言えるでしょう。

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