ガンダムセンチュリー

ガンダムセンチュリーの詳細

『ガンダムセンチュリー』、正式には『宇宙翔ける戦士達 GUNDAM CENTURY』は、1981年にみのり書房から発行されたアニメ『機動戦士ガンダム』関連のムックです。初版の発行日は昭和56年（1981年）9月22日とされていますが、実際にはその約1か月前の8月20日に発売されました。

本書は、アニメ制作に関わったスタッフのエッセイや短編小説、当時の宇宙開発やロボット技術に関する解説を含む多岐にわたる内容で構成されています。また、総監督の富野喜幸（現在の名は富野由悠季）などの座談会も掲載されており、公式な資料としての重要性を持っています。

受容の歴史

1980年代初めには、アニメ『機動戦士ガンダム』が大ブームを迎え、多数の関連書籍が刊行されましたが、その多くはアニメ本編を紹介する内容に過ぎませんでした。しかし、『ガンダムセンチュリー』は独自の設定や考証を深く掘り下げ、ファンにとって新たな知識の源となりました。
アニメのリアルな兵器描写や設定を求める熱心なファンたちは、映像作品中で説明されなかった部分を自ら考察し、関連する同人誌や資料を発表しました。その中には、アニメ・SF企画集団「スタジオぬえ」のスタッフが携わった同人誌『Gun Sight』もあり、これが『ガンダムセンチュリー』の土台となりました。

印象的な特徴

本書の大きな特徴は、アニメ本編のフィルムやセル画が使われておらず、全て新作イラストが採用されている点です。これにより、視覚的にも新しい体験が提供されました。また、表紙にはモビルスーツやキャラクターの描写がなく、横文字のタイトルロゴのみが印刷され、独特のスタイルを形成しています。

発売当初は価格設定が高く、売れ行きは思わしくありませんでしたが、後に回収や再発行を経て徐々にその価値が認識されるようになりました。

ガンダム世界への寄与

本書での設定や用語はその後の「ガンダムシリーズ」に多大な影響を与えました。「ミノフスキー物理学」や「エネルギーCAP」といった用語は、今やガンダム世界の不可欠な要素となりました。特に本書は、敵「ジオン」の視点からの戦記や、モビルスーツに関する様々な設定が詳述され、ファンによる創作活動を後押ししました。

加えて、アニメ本編における新たなメカニックデザインの考案や、ストーリーの構築にも影響を与え、多くの後続作品でもこれらの設定が受け継がれ、拡張されていきました。

復刻版と現代の価値

1990年代には、その資料価値から本書はプレミア価格で取引されることが一般的になりました。2000年には復刻版『GUNDAM CENTURY RENEWAL VERSION』が発行され、内容は原本を尊重しつつ、さまざまな設定の歴史や過去のエピソードが再評価される機会ともなりました。

この復刻版では、原本の欠点を補完しつつも、新たな世代のファンに向けて改めてその内容を広める努力がなされています。特に、『ガンダムセンチュリー』の資料から得られる知識や背景は、ただのファン活動にとどまらず、新たな創作活動の基盤となっています。

結論

『ガンダムセンチュリー』は、単なる書籍を超えて、ガンダムの世界をより理解し、楽しむための重要な資料であり続けています。このムックを通して得られる設定や考察は、これからも多くのファンを魅了し続けることでしょう。

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