ガンマナイフ
ガンマナイフについて
ガンマナイフとは、定位放射線治療を実施するための専用装置であり、特に脳腫瘍や脳血管奇形（脳動静脈瘻）などの治療に用いられます。この装置の最大の特長は、その精密な照射技術にあります。具体的には、201個または192個のコバルト60線源をヘルメットのような形状で配置し、これらを高度に制御することで、病変部位に向けてガンマ線をピンポイントで集中的に照射することができます。この精度は0.2 - 0.5ミリメートル程度であり、非常に高い精度を誇ります。
ガンマナイフの照射メカニズム
ガンマナイフから発生するガンマ線は、個別には細く弱いものでありますが、数多くの線源から放射されるこれらの線は、特定の病変部位に向けて集中照射されることで、効果的に高い線量となります。このため、病変組織には強い影響を及ぼす一方で、周囲の正常組織には最小限の影響を与え、結果的に副作用を抑えられます。
他の放射線治療装置との比較
ガンマナイフ以外にも、定位照射装置は存在しています。例えば、リニアックという汎用の放射線治療機に「コーン」という円筒形の遮蔽器具を設置することで微細ビームを作り出し、「リニアックナイフ」と呼ばれる方法で多門照射や回転照射が行われます。この技術における照射の集中性と精度は、ガンマナイフに匹敵します。また、より複雑な腫瘍形状に対応するために、数ミリメートル幅のマイクロマルチリーフを使用した強度変調放射線治療（IMRT）装置も導入されています。
治療対象疾患
ガンマナイフは、以下の疾患に対して治療が行われます。
特に、2015年には「薬物療法による疼痛管理が困難な三叉神経痛」についても治療対象に追加され、より幅広い疾患に対応できるようになりました。
使用目的と効能・効果
ガンマナイフの使用目的は、上記の脳内疾患や機能性脳疾患に対して、非切開手術としてガンマ線を照射することです。具体的には、脳血管障害や脳腫瘍の治療を主な目的とし、特に疼痛の管理が従来の方法では困難な三叉神経痛の治療にも適用されています。
経済的側面
ガンマナイフの治療費用は高額で、健康保険が適用されるものの、定位照射の診療報酬点数は他の放射線治療に比べ非常に高く、5万点（約50万円）となっています。ただし、高額療養費制度を利用することで、自己負担額の返還を受けることが可能です。
まとめ
ガンマナイフは、脳疾患に特化した高精度の放射線治療法で、多くの患者にとって重要な治療選択肢となっています。その効能と効果は多岐にわたり、今後もさらなる技術開発が期待されます。
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