ガーズィー・ヤーワル

ガーズィー・アジール・アル＝ヤーワルについて

ガーズィー・アジール・アル＝ヤーワル（Ghāzī ‘Ajīl al-Yāwar）は、1958年に生まれたイラクの政治家であり、特にイラクの暫定政府の大統領や移行政府の副大統領として知られています。彼はイラクの政治システムにおいて重要な役割を果たしてきました。報道ではガジ・ヤワルという表記が多く見られます。

彼は2004年の6月に連合国暫定当局から主権を移譲され、2005年1月30日に実施されたイラク国民議会選挙に伴って発足した移行政府において正式な国家元首とされましたが、実質的な権力は当時の首相であるイヤード・アッラーウィーにありました。ヤーワルは、スンナ派に属するイラク最大のアラブ部族、シャンマル部族の有力者であり、彼の家族も政治的な影響力を持っています。彼の父は先代の部族長であり、叔父が現在の部族長です。

教育面では、ヤーワルはエンジニアとしての基礎を築き、1980年代にはサウジアラビアのキング・ファハド大学に留学しました。その後、アメリカ合衆国のジョージ・ワシントン大学で土木工学の修士号を取得しました。彼はサッダーム・フセイン政権下のイラクには帰国せず、1980年代末からサウジアラビアの通信会社で副社長として15年間勤務しました。

2003年、フセイン政権が連合国軍の攻撃によって崩壊すると、ヤーワルは6月にイラクに帰国し、同年7月に発足したイラク統治評議会にスンナ派の部族代表として参加しました。彼はその後、暗殺されたイッズッディーン・サリーム議長の後任として統治評議会の議長に就任しました。彼は暫定政権の構築を主導し、アメリカの影響が強い統治評議会を排除しようとする国連の要求に反発し、主権の完全獲得を訴えました。

ヤーワルは統治評議会によって暫定政権の大統領候補として選出され、その後、国連や暫定当局に確認されて、正式に大統領に就任しました。政治的には特定の政党には所属していませんでしたが、現在は世俗主義の統一会派「イラク国民リスト」に参加しており、その中でも「アル＝イラーキー」というグループのトップに立っています。彼は温厚な性格であったため、統治評議会でも重要な地位を確立しました。

シャンマル部族はイラク国内外に幅広い影響を持っており、そのため、ヤーワルは多様な背景を持つイラクの主要集団、すなわちスンナ派、シーア派、クルド人の調停を行う能力が期待されていました。特に、彼が出身の都市モースルに、クルド人が多いこともあり、これらの集団の間での対話を進める役割を果たすことが求められていたのです。

彼の政治的活動とリーダーシップは、イラクの通信、国際関係、部族の調和において重要な影響を与えています。

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