ガーブ川

ガーブ川とは

ガーブ川は、沖縄県那覇市の中心市街地を流れる川です。その多くは暗渠となっており、行政上は河川ではなく公共下水道の雨水施設として扱われることもあります。この川は、那覇の都市部を流れ、その歴史と都市開発の変遷を物語る重要な存在です。

地理

ガーブ川は、那覇市長田1丁目付近を源流とし、西へと流れます。寄宮地区に入ると、一度暗渠となり、その後北西に向きを変えます。再び暗渠となった後、西へ流れ、与儀公園とひめゆり通りを横切ります。さらに、神原小学校と神原中学校の間を抜け、再び暗渠となります。その後、壺屋、牧志、松尾の境界を流れ、水上店舗街の下を通り、むつみ橋交差点で国際通りをくぐります。牧志1丁目で地上に現れ、久茂地川に合流します。このように、ガーブ川は那覇の市街地を縫うように流れ、その流れは複雑に入り組んでいます。

歴史

かつて那覇市北西部は浅い海が広がっており、ガーブ川の下流部も入り江となっていました。1451年に長虹堤が築かれてから陸地化が進みました。この川の名前は、下流部が湿地帯であったことに由来し、地元で湿地を意味する「ガーブー」が語源となっています。

第二次世界大戦後、国際通り近くの川沿いに商店街が形成され、川の上にも店舗が建てられるようになりました。しかし、都市化が進むにつれて、大雨による浸水被害が多発するようになりました。このため、那覇市は都市再開発事業の一環として大規模な改修工事を実施しました。この工事では、河床を深く掘り下げ、鉄筋コンクリート製の暗渠が設置されました。工事は難航し、幾度かの入札不調を経て、最終的に南洋土建が受注しました。1962年に工事が始まり、途中でクレーンの倒壊や家屋の傾斜といった問題が発生しましたが、1965年に完成しました。この改修工事により、ガーブ川は都市のインフラとして重要な役割を担うこととなりました。

一方、1963年には那覇市下水道事業基本計画が策定され、1965年から下水道工事が開始されました。下水道はガーブ川に沿うように設置されましたが、1983年や2009年には大雨による浸水被害が発生しています。特に2009年の集中豪雨では、鉄砲水が発生し、多くの犠牲者が出ました。これらの出来事は、都市部における自然災害の脅威を改めて認識させるものとなりました。

水質

ガーブ川は、自然の流量が少なく、流域が那覇市街地であるため、生活排水の流入によって水質汚染が深刻です。沖縄県内でも最も汚れている川の一つとされています。近年、流域での下水道の普及が進み、水質の改善が見られるものの、依然として課題が残っています。ガーブ川の水質改善は、那覇市の環境問題において重要なテーマとなっています。

ガーブ川は、その歴史と地理的な特性から、那覇市の都市形成と密接に関わってきました。暗渠化された部分が多いものの、その存在は那覇の街並みに深く根付いています。今後の水質改善と都市開発において、ガーブ川の役割はさらに重要になるでしょう。

もう一度検索