久茂地川

久茂地川（くもじがわ）

沖縄県那覇市の中心市街地を東西に横断する久茂地川は、二級河川に指定されています。その源流は、安里川から分岐した地点にあり、そこから西へと流れていきます。

地理

久茂地川は、仲良橋付近で安里川から分かれ、牧志と前島の境界を西に流れます。美栄橋付近で潮渡川を分けると、南西方向に進路を変え、十貫瀬橋付近でガーブ川と合流します。その後、久茂地橋で県道222号と交差し、久茂地に入り、御成橋で県道42号と交わります。さらに蛇行しながら、泉崎橋付近から南へと向きを変え、泉崎と東町の境を流れます。旭橋で国道330号、新旭橋で国道329号と交差し、最終的には明治橋付近で国場川（漫湖）に合流します。

久茂地川の大きな特徴として、全域で海水の進入があることが挙げられます。そのため、潮の満ち引きによって水位が大きく変動します。また、流路のほぼ全行程に沿って沖縄都市モノレール線が並行しており、沿線には美栄橋駅、県庁前駅、旭橋駅といった主要な駅があります。

歴史

かつて那覇市北西部は浅い海が広がっており、現在の久茂地川付近は海峡でした。1451年に長虹堤という堤防が築かれたことで陸地化が進み、その結果、わずかに残された水路が現在の久茂地川となりました。

しかし、第二次世界大戦後の経済発展と那覇市の人口増加に伴い、久茂地川の水質は急速に悪化しました。この状況を改善するため、1983年4月には「久茂地川に清流と緑を取り戻す会」が結成され、1986年からは毎年10月頃に久茂地川フェスティバルが開催されるようになりました。このフェスティバルは、地域住民の環境意識を高める上で重要な役割を果たしています。

近年では、流域における下水道の普及や市民の努力により、水質は着実に改善されつつあります。また、久茂地付近の川沿いには親水遊歩道が整備されており、市民が気軽に水辺に親しめる空間となっています。この遊歩道は、「久茂地川親水遊歩道」として、平成4年度手づくり郷土賞（ふるさとの色と光）を受賞しており、その景観の美しさと地域への貢献が高く評価されています。

久茂地川は、那覇の街の歴史と人々の生活を見守ってきた川であり、今後もその美しさを保ちながら、市民に親しまれる存在であり続けるでしょう。

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