キイトトンボ

キイトトンボ（学名：Ceriagrion melanurum）は、トンボ目イトトンボ科に分類される昆虫の一種です。その名の通り、成熟したオスの鮮やかな黄色い体色が特徴で、水辺の風景に彩りを添えます。

形態

キイトトンボはイトトンボとしては中型の種類で、オスとメスで大きさに若干の差があります。

オス: 全長31 - 44mm、腹長23 - 34mm、後翅長15 - 24mm。
メス: 全長33 - 48mm、腹長25 - 38mm、後翅長16 - 26mm。

胸部は未成熟な個体では淡褐色をしていますが、成熟するにつれて鮮やかな黄緑色に変化します。腹部はオスでは一様に鮮やかな黄色を呈しますが、メスでは緑がかった黄褐色や緑色など、個体差が見られます。この色の変化と成熟との関係については、今後の調査が期待されています。翅は無色透明で、複眼は黄緑色、脚は黄色です。

幼虫は体長11 - 15mm程度まで成長します。

生態

キイトトンボは、平地や低山地の池沼、湿地、湿原などに生息します。水生植物が豊富な環境を好み、これらの植物の間を縫うように飛び回ります。成虫は肉食性で、ハエなどの小型昆虫から、時には同種を含む小型のトンボまでを捕食します。

分布

キイトトンボは、日本（本州以南）、中国、朝鮮半島に分布しています。日本では比較的普通に見られるトンボですが、生息地の環境破壊などにより、地域によっては個体数が減少しており、各都道府県のレッドデータリストに掲載されている場合があります。

保全状況

キイトトンボは、生息地の環境変化に敏感なため、湿地や池沼の保全が重要となります。水質汚染の防止や、周辺の森林の保全など、総合的な環境保全対策が求められています。

その他

キイトトンボに関する詳しい情報は、琵琶湖博物館、岐阜大学教育学部理科教育講座（地学）、三ツ堀里山自然園、大阪府立環境農林水産総合研究所などのウェブサイトで公開されています。また、環境省の「日本のレッドデータ検索システム」や、各都道府県のレッドデータリストも参照できます。熊本県など、地域によってはキイトトンボの保護に関する取り組みが行われています。

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