キクヤ図書販売とは？意味をやさしく解説

喜久屋書店（きくやしょてん）

喜久屋書店は、兵庫県神戸市兵庫区に本社を置くキクヤ図書販売株式会社が運営する書店チェーンです。日本全国に店舗を展開しており、地域に根差した書店として知られています。

ジュンク堂書店との関係

喜久屋書店と、大手書店チェーンであるジュンク堂書店は、深い同根の関係にあります。キクヤ図書販売の当時の社長であった工藤淳氏の息子、工藤恭孝氏が、キクヤ図書販売の販売部門を前身とする株式会社大同書房から独立してジュンク堂書店を設立した経緯があるためです。

店舗展開戦略

かつて、喜久屋書店はジュンク堂書店との直接的な競合を避けるため、主に地方都市や、ジュンク堂があまり展開していないエリアに大規模店舗を出店する戦略をとっていました。例えば、福岡県においては、ジュンク堂が福岡市の都心部に大型店を展開する一方、喜久屋書店は北九州市の百貨店内に店舗を構えるといった形で、商圏を意図的に分けていました。大阪でも同様に、ジュンク堂が梅田や難波といった主要な繁華街に店舗を集中させていたのに対し、喜久屋書店は阿倍野地区に出店するなど、地理的なすみ分けを図っていました。

しかし、近年では状況が変化し、一部で商圏が重複するケースも生まれています。大阪のあべのハルカスにジュンク堂書店が出店したことはその一例です。一方で、仙台市のように、同じ複合ビル内にジュンク堂と喜久屋書店が共存するケースでは、ジュンク堂がコミックやライトノベルの売場を縮小し、喜久屋書店が上階にこれらの専門館を開設するなど、互いの強みを活かし、品揃えを補完し合う連携も見られます。また、岡山市では、既存の喜久屋書店が改装を経てジュンク堂書店としてリニューアルオープンした例もあります。

特徴

喜久屋書店の店舗入口には、絵本作家の長谷川義史氏が描いた「本はたのしいね」というイラストが飾られていることが多く、店舗の目印の一つとなっています。また、オンラインでの書籍販売事業は、2008年にジュンク堂書店に移管されています。

歴史

喜久屋書店の歴史は、1955年に神戸で書店として開業したことに始まります。1963年にはキクヤ図書販売株式会社が設立され、書籍の取次業にも事業を拡大しました。国際的な展開としては、1976年にフランス・パリに現在のパリ・ジュンク堂書店の基礎となる法人を設立しています。書店事業においては、1984年頃から「ブックフォーラム」という名称でのチェーン展開を開始しましたが、1995年には直営店の屋号を「喜久屋書店」に統一して展開を進めました。近年では、2011年に持株会社であるビーエルホールディングスの傘下に入り、2014年には書籍取次卸売事業部門をビーエルホールディングスへ継承するなど、組織体制にも変化が見られます。

北海道の同名書店について

過去に北海道にも「喜久屋書店BOOK JAM K&S」という同名の書店チェーンが存在しました。こちらはキクヤ図書販売株式会社とは資本関係がなく、生活協同組合コープさっぽろの関連会社が運営していました。コープさっぽろのテナント内を中心に店舗を展開していましたが、2019年5月に自己破産申請を行い、全店舗が閉店しました。ただし、キクヤ図書販売が直営する北海道の店舗（帯広店、小樽店）は、このチェーンとは別組織であり、現在も営業を続けています。