キシロース

キシロース：植物界に広く存在する五炭糖

キシロース（xylose、木糖、Xyl）は、化学式C5H10O5、分子量150.13の単糖です。五炭糖の一種であり、アルドースに分類されます。

天然にはD-キシロースのみが存在し、L-キシロースやDL-キシロースは、有機化学合成によって生成されます。それぞれのCAS登録番号は、D-キシロースが[58-86-6]、L-キシロースが[609-06-3]、DL-キシロースが[41247-05-6]です。

キシロースの特性と生理作用

D-キシロースは、ヒトの小腸で吸収されにくいという特徴があります。この性質と、α-グルコシダーゼの活性を抑える作用により、グルコースの吸収を抑制し、血糖値の上昇を緩やかにする効果が期待されています。

興味深いことに、同様の作用を持つL-アラビノースと比較すると、L-アラビノースの方がα-グルコシダーゼ阻害活性が高いことが知られています。

キシロースの分布と代謝

キシロースは、単体で存在することは稀です。主に、植物細胞壁を構成するヘミセルロースの一種であるキシランの構成成分として、様々な植物に広く分布しています。

キシロースは、還元反応によってキシリトールに変換されます。また、キシロースイソメラーゼという酵素によってキシルロースへと異性化されます。

キシロースの生合成経路は、UDPグルクロン酸から始まります。UDPグルクロン酸は脱炭酸反応を受け、UDPキシロースを生成します。このUDPキシロースは、キシロシルトランスフェラーゼという酵素によって、糖鎖や多糖に組み込まれていきます。

キシロースと関連物質

キシロースは、アラビノース、デオキシリボース、リキソース、リボース、リブロース、キシルロースなど、他の多くの単糖類と構造的に関連しています。これらの糖類は、生体内における様々な代謝経路に関与し、生命活動に重要な役割を果たしています。キシロースの性質や機能を理解することは、これらの関連物質の理解にも繋がるでしょう。

まとめ

キシロースは、植物界に広く分布する五炭糖であり、血糖値上昇抑制効果が期待される一方で、小腸での吸収率は低いという特徴があります。キシランの構成成分として植物細胞壁に存在し、キシリトールやキシルロースへの変換、そしてα-グルコシダーゼ阻害活性を持つなど、多様な性質と機能を有しています。今後、キシロースの機能性や応用に関する研究がさらに進展することが期待されます。

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