キタドジョウ

キタドジョウ（北泥鰌）について

キタドジョウ（学名：Misgurnus chipisaniensis）は、ドジョウ科に属する魚で、主に北日本の河川や湿原に分布しています。この魚は体長が12から21センチメートル程度となり、形態的には黒褐色から茶褐色の体色を持ち、特に頭部が細長いのが特徴です。口周りには5対のひげがあり、体側には不規則な小斑点が散在しています。また、尾鰭付け根の上部には黒い斑点が見られます。特筆すべきは、オスの成魚の骨質板がしゃもじ状である点です。

分類の歴史

2008年、これまで「ドジョウ」とされていた個体が、実は異なる種に属することが判明しました。それがキタドジョウで、2017年には公式に和名が提案されました。この変更は、ドジョウとキタドジョウが同じ水系で共に見られるものの、確固たる生殖隔離が存在することが理由です。この生殖隔離によって、両種が異なる種として確認されました。さらに、キタドジョウに似た種として、樺太で報告されたMisgurnus chipisaniensisや、アムール川水系からのMisgurnus nikolskyi、中朝国境に生息するトマンドジョウ（Misgurnus buphoensis）が挙げられますが、これらの種がキタドジョウと同一かどうかは、今後の研究で解明されることが期待されています。

分布

キタドジョウの分布は北海道やその周辺の諸島、また青森県から福島県、新潟県、群馬県などの地域に広がっていますが、具体的な分布状況にはまだ不明な点が多いです。特に島嶼部での分布に関しては、詳細が不明なため、さらなる調査が必要です。主に河川の中流や下流、用水路や湿原の水たまり、細流に生息し、劣悪な環境下でも生き延びることが期待される魚です。

地方名

キタドジョウは、地域によって異なる呼称があります。北海道では「ホンドジョウ」、秋田県や岩手県では「ドンジョ」、佐渡島では「ジョジョ」、東京都では「オドリコ」と呼ばれ、それぞれの地域で独自の呼び名が根付いています。これらは混称とされていますが、地域の文化に根差した名称なのです。

利用

キタドジョウは、特に柳川鍋などの料理において食材として用いられることが多く、その味わいから地域で重宝されています。また、釣り餌としての利用もあり、興味を持つ釣り人にとっては重要な資源となっています。キタドジョウの飼育は比較的容易で、自然環境下よりも成長が遅くなるものの、その寿命は延びる傾向にあります。一方、自然で生活している個体に比べると成長は小ぶりになることが見込まれます。

今後の研究によって、キタドジョウに関する新たな知見が得られることを期待したいところです。

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