キム・コッピ

キム・コッピ（김꽃비）

韓国の女優。1985年11月24日、京畿道富川市に生まれる。その名は「花」と「雨」を意味する韓国語に由来する。ソーサ高校を卒業後、明大学校で演劇学を修めた。幼い頃から演劇に親しみ、小学生の頃にはフランスの劇団と共に世界演劇祭の舞台に立った経験を持つ。

本格的な女優活動は2002年の映画『妬みは私の力』からだが、その前年の2001年には『頭師父一体』（日本公開題『マイ・ボス マイ・ヒーロー』）に多数の女子高校生エキストラの一人として参加している。

キャリアの転換点となったのは、2008年のインディペンデント映画『息もできない』である。この作品で、困難な家庭環境に苦しみながらも、懸命に生きようとする女子高生ヨニ役を熱演。その演技は国内外で高く評価され、翌2009年には第46回大鐘賞、第30回青龍映画賞で新人女優賞を受賞したほか、ロシア太平洋映画祭、ラス・パルマス国際映画祭でも主演女優賞に輝くなど、数々の映画賞を受めた。この作品を通じて、韓国映画界における確固たる地位を築いた。

女優としての活動に加え、社会的な問題に対する強い関心と発言でも知られる。2011年には釜山国際映画祭のレッドカーペットに登場した際、華やかなドレスの上に労働者の作業服を羽織り、韓進重工業の整理解雇撤回を求めるメッセージを発信するパフォーマンスを行った。また、済州島江汀村の海軍基地建設問題を巡る住民運動を支持するスローガンが記された布を身につけ、会場を驚かせた。これらの行動は、芸術家としてだけでなく、社会の一員としての彼女の姿勢を示すものとして注目を集めた。

日本映画への出演も多い。2013年には常本琢招監督の『蒼白者 A Pale Woman』で忍成修吾と共演し、朝倉加葉子監督の『クソすばらしいこの世界』では主演を務めた。その後も、白石晃士監督『ある優しき殺人者の記録』（2014年）、内田英治監督『グレイトフルデッド』（2014年、スヨン役）、エリック・クー監督『部屋のなかで』（2015年、ソユン役）、犬童一利監督『つむぐもの』（2016年、ヨナ役）、松居大悟監督『君が君で君だ』（2018年、ソン役）など、個性的な日本の監督たちの作品に多数参加しており、日本でもその存在感を確立している。

映画以外では、2011年のテレビドラマ『グァンヨムソナタ』や、演劇『カポニノ』、『美しいサイン』などにも出演している。

また、女優としての視点から、2011年には監督作品『私私私：女優素顔プロジェクト』を発表。同年には第16回釜山国際映画祭の審査員を務めるなど、多岐にわたる活動を展開している。

多様な役柄を演じ分ける演技力と、社会派としての揺るぎない姿勢を持つキム・コッピは、韓国そしてアジア映画界において独自の道を歩み続ける女優である。

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