キャッチ・レスリング・アソシエーション

キャッチ・レスリング・アソシエーション（CWA）とは

キャッチ・レスリング・アソシエーション（Catch Wrestling Association、略称：CWA）は、1970年代から1990年代にかけてオーストリアとドイツを中心に活動したプロレス団体です。創設者は、CWA世界ヘビー級王座を保持していたオットー・ワンツ。彼は、その王座を看板に、1973年に地元グラーツでCWAを設立しました。

CWAの独特な興行スタイル

CWAは、アメリカの巡業スタイルとは異なり、特定の都市に数週間滞在し、同じ場所でトーナメント形式の興行を開催しました。1月から4月をオフシーズンとし、5月にリンツでツアーを開始。その後、グラーツ、ウィーンと移動し、8月からはドイツのハノーバー、ブレーメンでトーナメントを開催するという独特なシステムを採用していました。

AWAとの提携と世界的な知名度の向上

1982年、CWAは当時のアメリカの主要団体であったAWA（アメリカン・レスリング・アソシエーション）と提携。同年8月には、オットー・ワンツがアメリカ遠征中にニック・ボックウィンクルを破り、AWA世界ヘビー級王座を獲得しました。王座は短期間でボックウィンクルに奪還されたものの、この戴冠はCWAの世界的な知名度を大きく向上させ、北米から多くのトップレスラーを招聘するきっかけとなりました。

新日本プロレスとの交流

CWAは、日本のプロレス団体とも深い関わりを持っていました。1980年代前半には、ムース・モロウスキーの仲介により、全日本プロレスの選手がハノーバーやブレーメンのトーナメントに出場。その後、ワンツが度々参戦していた新日本プロレスと正式に提携し、ブッキングを共有するようになりました。ビッグバン・ベイダーなどがCWA経由で新日本プロレスに来日する一方、1980年代後半から1990年代にかけては、多くの新日本プロレスの若手選手が海外修行の場としてCWAでキャリアを積みました。

ユーロ・キャッチ・フェスティバル

CWA最大のイベントは、年2回開催された『ユーロ・キャッチ・フェスティバル』でした。夏にはオーストリアのグラーツ、冬にはドイツのブレーメンで開催され、ヨーロッパ式のラウンド制でKO勝ちのルールが採用されていました。

オットー・ワンツの引退とCWAの終焉

1990年12月22日、オットー・ワンツはテリー・ファンクとの試合を最後に引退し、以降はプロモーターに専念しました。WWEの世界戦略によりヨーロッパのプロレス界が衰退していく中、CWAは新日本プロレスやWCWとの業務提携を維持し、孤塁を守り続けました。1992年からは、アマチュアの力自慢が競うストロングマン・コンテストもプロモートしていましたが、2000年にワンツが活動停止を発表し、約27年の歴史に幕を下ろしました。

CWAのタイトル

CWA世界ヘビー級王座
CWA世界ジュニアヘビー級王座
CWA世界ミドル級王座
CWA世界タッグ王座
CWAインターコンチネンタル王座

CWAに参戦した主な選手

CWAには、ヨーロッパ、北米、日本など、世界各地から多くの選手が参戦しました。

クラウス・カウロフ
フランツ・シューマン
マーティ・ジョーンズ
エディ・スタインブロック
アルティメット・ウォリアー
アンドレ・ザ・ジャイアント
テリー・ファンク
ビッグバン・ベイダー
飯塚高史
蝶野正洋
橋本真也
* 藤波辰巳

CWAは、ヨーロッパのプロレス界に大きな影響を与えた団体として、その名を歴史に刻んでいます。

もう一度検索