キャンディーズ ファイナルカーニバル プラス・ワン

『キャンディーズ ファイナルカーニバル プラス・ワン』は、1978年5月21日にリリースされたキャンディーズの3作目にして最後のライブアルバムです。このアルバムは、彼女たちの活動に終止符を打った作品として、多くのファンにとって特別な意味を持っています。

アルバムはLP帯に「'78/4/4後楽園球場ライブ 涙の微笑がえし! 55,000人の熱狂!」と記載され、1978年4月4日に後楽園球場で行われた解散コンサート「ファイナルカーニバル」の模様を収録しています。LP、音楽テープ、CDともに全3枚組で構成されており、Disk 3はスタジオ録音盤となっています。「Plus One」というタイトルは、このスタジオ録音盤を指しています。

このアルバムは、オリコンアルバムチャートで初登場1位を獲得しました。LPでの発売から約7年後の1985年3月21日にCD化され、全3枚のライブ盤の中で最初にCD化された作品です。また、オリジナルアルバムを含めた全LPリリース作品の中でも、最初にCD化されたタイトルであり、キャンディーズのアルバムの中で最も古いCD作品です。なお、オリジナルアルバムのCD化は、さらに6年後の1991年から開始されました。この1991年は、元メンバーの田中好子（スー）が結婚した年でもあります。

2008年9月3日にリリースされたCD-BOX『キャンディーズ・タイムカプセル』には、アポロン音楽工業からリリースされた音楽テープのスタジオ録音盤収録曲「かーてん・こーる」の別ミックスがボーナストラックとして収録されました。また、音楽テープに特典として添付されていたブックレット「ミニ・スケッチ&さよならメッセージ」がボックス内のブックレットに復刻掲載されました。

1980年前後には、1970年代を彩ったアイドルスターたちの引退・解散コンサートを実況録音したライブ盤が数多くリリースされました。キャンディーズ以降では、フォーリーブス、南沙織、山口百恵、ピンク・レディー、石野真子などがライブ盤をリリースしています。

ファイナルカーニバル詳細

キャンディーズの全国縦断ファイナルコンサート「ありがとうカーニバル」は、1978年3月18日から4月4日まで、全国各地で開催されました。最終公演である4月4日の後楽園球場での解散コンサート「ファイナルカーニバル」は、5万5千人ものファンで埋め尽くされました。コンサートは17分遅れてスタートし、キャンディーズのバックバンド「MMP」によるクール&ザ・ギャングの『Open Sesame』の演奏で幕を開けました。

金色に輝く衣装をまとい松明を手にしたキャンディーズがステージに登場し、オープニング曲としてアース・ウィンド&ファイアーの『Jupiter』を披露。その後、洋楽カバーコーナーとして、『朝日のあたる家』、『ある愛の詩』、『宇宙のファンタジー』、『エピタフ』が導入された『GOING IN CIRCLES』などが演奏されました。

日が暮れる頃には、キャンディーズのオリジナル曲である『恋のあやつり人形』、『内気なあいつ』、『ハート泥棒』などが披露されました。最初のMCでは、コンサート時に個々の名前と愛称を名乗るいつもの挨拶を行い、自己紹介ソング『キャンディーズ』を歌唱。続いて、『銀河系まで飛んでいけ！』、『黄色いビキニ』などのアルバム曲が数曲歌われました。スーのMCを挟んで、デビュー曲『あなたに夢中』に続き、『そよ風のくちづけ』、『なみだの季節』などの初期ナンバーが披露されました。

「ファイナルカーニバル」の2週間前に発売されたアルバム『早春譜』のコーナーでは、ラン、スー、ミキが自ら作詞作曲した曲を一人ずつ歌唱しました。ミキが『買い物ブギ』、『エプロン姉さん』、ランが『アンティック ドール』、『MOONLIGHT』、スーが『午前零時の湘南道路』、『私の彼を紹介します』を披露。その後、ウエディングドレス風の衣装に着替えたミキが『おとうさん あなたへ』を歌い、ランとスーも同じ衣装で加わる感動的な演出がありました。

シングル曲のコーナーでは、『アン・ドゥ・トロワ』、『わな』が歌唱され、『哀愁のシンフォニー』では観客席から無数の紙テープが投げ込まれました。『悲しきためいき』に続いて、MMPへの謝辞が述べられ、バンドは『SUPER CANDIES』を演奏。シングル曲コーナーの後半では、『ハートのエースが出てこない』、『その気にさせないで』、『危い土曜日』を披露し、最後にファンへの感謝を込めて『微笑がえし』を歌いました。

その後、『年下の男の子』、『やさしい悪魔』、『暑中お見舞い申し上げます』が続き、コンサート名物の『Dancing Jumping Love』が披露され、アルバム収録曲の『あこがれ』が静かに歌われました。涙ぐむ3人に、観客席から熱い“キャンディーズ・コール”が起こり、ランのラストMCに続いて、ミキ、スーもそれぞれファンへ向けたメッセージを伝えました。そして最後に『つばさ』が歌われ、間奏でランの語りに続いて3人が「本当に私たちは幸せでした」と観客に伝えました。

歌唱後、3人は肩を抱き合いながらステージから姿を消しましたが、観客の“キャンディーズ・コール”は止まりませんでした。場内アナウンスでキャンディーズがもういないことが告げられ、観客は会場を後にしました。約4時間に及ぶコンサートは、女性アイドルグループ初のスタジアムコンサートとして幕を閉じました。

その他

「ファイナルカーニバル」の披露曲は、キャンディーズとマネージャーの大里洋吉の話し合いで決定されました。オープニングで洋楽カバーが歌われたのは、当時の引退公演では珍しいことでしたが、キャンディーズのコンサートでは以前から洋楽カバーで幕を開けるのが通例でした。佐野史郎は、キャンディーズが洋楽カバーを練習したことで、他のステージでもロックやソウルを歌いこなすことができたと語っています。

コンサート直前の1週間、キャンディーズとMMPは嬬恋村で合宿を行い、徹底的に練習しました。体力トレーニングから歌の練習まで、長時間に及ぶリハーサルを繰り返しました。MMPの西は、コンサートの成功はファンと、解散宣言後の観客の雰囲気が大きく変わったことを感じたと語っています。

「ファイナルカーニバル」当日、チケットを入手できなかったファンが、球場の外に集まりました。ステージはビル2階ほどの高さがあり、MMPはさらにその上のスペースで演奏しました。リハーサルでは、演奏と歌のタイミングを合わせるのに苦労しましたが、本番では、バッグバンドがキャンディーズの振付けに合わせて演奏し、彼女たちはスピーカーから流れる演奏を聞いて修正することで、ズレをなくしました。豪華な衣装や早変わりの演出もファンを喜ばせました。コンサート当日、夜にはラジオでコンサートの模様が放送されました。解散後、キャンディーズとマネージャーの招待で、関係者全員でタイ旅行をしました。また、解散コンサートから30年後の2008年4月4日には、ファン主催のイベント「全国キャンディーズ連盟2008大同窓会」が開催され、当時のフィルムに合わせてMMPが生演奏し、ファンを熱狂させました。

収録曲

オリジナル盤は、Disk1と2がライブ音源、Disk3がスタジオ録音となっています。各ディスクの収録曲は以下の通りです。

Disk 1 / Side-A

OPEN SESAME（Tape SE）
JUPITER
DO IT (USE YOUR MIND)
PLAY THAT FUNKY MUSIC
FANTASY
GOING IN CIRCLES

Disk 1 / Side-B

ラン・スー・ミキ（MC）
キャンディーズ
恋のあやつり人形
ハート泥棒
キャンディ・ツイスト
IT'S VAIN TRY TO LOVE YOU AGAIN
買い物ブギ
アンティック ドール
午前零時の湘南道路

Disk 2 / Side-A

さようならの言葉（MC）
SUPER CANDIES
ハートのエースが出てこない
その気にさせないで
危い土曜日
アン・ドゥ・トロワ
わな
哀愁のシンフォニー
悲しきためいき

Disk 2 / Side-B

微笑がえし
年下の男の子
春一番
ダンシィング・ジャンピング・ラブ
つばさ

Disk 3 / Side-A

微笑がえし（シングル・ヴァージョン）
インスピレーション・ゲーム
100%ピュア・レディ
わな（シングル・ヴァージョン）
かーてん・こーる
グッド・バイ・タイムス

Disk 3 / Side-B

さよならキャンディーズ
STOP!
いけない人
へそ曲がり
SEXY
* 土曜日の夜

『キャンディーズ ファイナルカーニバル プラス・ワン』は、キャンディーズのラストステージを記録した、貴重なライブアルバムです。

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