キャンベルハムスター

キャンベルハムスター（Campbell's Hamster）は、ヒメキヌゲネズミ属に分類される小型のハムスターです。中央アジアから北アジアにかけての草原や半砂漠地帯を原産とし、ロシアのトゥヴァ地方、バイカル湖東部、モンゴル、中国の黒竜江省・河北省・内モンゴル自治区などに生息しています。「シベリアンハムスター」と呼ばれることもあります。

特徴

体長: 約7-13cm
体重: 約30-40g
ドワーフハムスター（小型ハムスター）の中では、毛色や毛質の種類が豊富です。
オスの方がメスよりも体が大きい傾向があります。
腹部に臭腺があります。

オスメスの見分け方

他のハムスターと同様に、オスは生殖器と肛門の間隔が広く、メスは間隔が狭いのが特徴です。成熟したオスは睾丸が発達するため、お尻のあたりが膨らんで見えます。

毛色

キャンベルハムスターはカラーバリエーションが豊富で、ノーマルカラーの茶色をはじめ、ブラック、ホワイト、イエロー、グレーなどのバリエーション、パイド（斑）などが存在します。目の色も黒目と赤目の個体がいます。赤目の個体は視力が低い傾向があります。

生態

性成熟: 生後5週間ほど
妊娠期間: 約3週間
出産数: 平均5匹程度（1～9匹）
活動時間: 夜行性
寿命: 2～2年半

性格

キャンベルハムスターは活発な性格で、他のハムスターに比べて人には慣れにくい傾向があります。以前は「よく噛むハムスター」と言われていましたが、これは臆病な性格からくる防衛反応であると考えられています。驚かせたり、新しい環境に置かれたりすると噛むことがありますが、環境に慣れると大人しくなることが多いです。ただし、性格には個体差があり、ジャンガリアンハムスターでも怖がりな個体は噛むことがあります。

ジャンガリアンハムスターとの違い

キャンベルハムスターはジャンガリアンハムスターと見た目がよく似ており、間違えやすいことがあります。かつてはキャンベルハムスターがジャンガリアンハムスターの亜種であるという説もありましたが、現在では独立した種類として扱われています。

主な違い

毛色: キャンベルハムスターはジャンガリアンハムスターに比べて茶色が強く、腹部は青みがかった灰色です（ノーマルカラーの場合）。
背中の模様: キャンベルハムスターは背中のストライプが細くはっきりしています。ジャンガリアンハムスターは頭上のストライプが菱形に広がる傾向がありますが、キャンベルハムスターは直線状です。
体毛の変化: ジャンガリアンハムスターは冬季に体毛が白くなることがありますが（個体差あり）、キャンベルハムスターは体毛の変化はほとんどありません。
耳: キャンベルハムスターの耳は先が尖っていて、大きく広がっています。
尾: キャンベルハムスターの尾はやや太めでしっかりしています。
目の色: キャンベルハムスターにはアルビノ以外の有色の毛色でも赤目の個体がいますが、ジャンガリアンハムスターはアルビノを除いて黒目のみです。

交配について

ジャンガリアンハムスターとキャンベルハムスターは交配が可能ですが、生まれたオスの子供は不妊になることが報告されています。また、雑種は遺伝的な欠陥により、抵抗力が弱いなどの先天的な異常を持って生まれる可能性があります。交配させる場合は、これらのリスクを理解した上で行う必要があります。

毛色と毛柄

毛色

キャンベルハムスターの毛色には、背中側とお腹側で色が分かれるタイプ（アグーチ）と、全身が一色になるタイプ（セルフ）があります。

毛柄

パイド（Mottled）: 白い斑点模様が入る。
プラチナ（Platinum）: 毛先が白色化し、全体的に白っぽく見える。全身が白くなる個体もいる。

毛質

サテン（Satin）: 光沢のある毛質。同じ毛色でも、サテンとそうでないものでは異なって見えることがある。
ロングコート（Long coat）: 毛が長い種類。ただし、ゴールデンハムスターほど長くはならない。
レックス（Rex）: 毛が根元からカールする。ヒゲもカールする。

歴史

1902年：W.C. Campbellがトゥヴァで発見。
1960年代後半：チェコの科学者がドイツの研究所に2ペアのPhodopus sungorusを持ち込む。
1967年：ソ連で両ハムスターの染色体の違いが認められる。
1960年代後半以降：Phodopus sungorusをジャンガリアンハムスターと名付けられた論文が発表。
1979年：ソ連で両ハムスターから生まれたオスが不妊であることが確認される。
1980年代初頭：ソ連で2種のハムスターの野生種の捕獲に成功、野外と研究室で研究が行われる。
1984年：Phodopus campbelliが習性上でも形態上でも別種であると研究者たちの間で認められる。
1984年、1987年：Phodopus sungorusをシベリアンハムスター、Phodopus campbelliをジャンガリアンハムスターと名付けられた論文が発表。

参考文献

Stephan Steinlechner, "DJUNGARIAN HAMSTER AND/OR SIBERIAN HAMSTER: WHO IS WHO?", Reprinted from European Pineal Society NEWS, 1998, number 38 (April): 7-11
『ハムスターの育て方』（成美堂出版、霍野晋吉監修、ISBN 978-4-415-01464-7）

関連項目

ハタネズミ
ゴールデンハムスター
ドワーフハムスター
ジャンガリアンハムスター
ロボロフスキーハムスター
チャイニーズハムスター

外部リンク

宮崎医科大学附属動物実験施設で飼育中のハムスター類　新しい実験動物の素顔「ハムスター類」

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