キヨッソーネ東洋美術館

キヨッソーネ東洋美術館（Museo d'Arte Orientale Edoardo Chiossone）

キヨッソーネ東洋美術館は、イタリアのジェノヴァ市にある、主に東洋美術を専門とする美術館です。この美術館は、日本の明治時代に来日したエドアルド・キヨッソーネの収集品を基に設立されました。彼は1875年に日本に招かれ、日本の美術品を積極的に集めました。その結果として形成されたコレクションがこの美術館の核となっています。

歴史と設立

キヨッソーネは、大蔵省印刷局において、主に偽造防止に関する紙幣制作の指導を行いましたが、その収入の一部を使って日本の美術品を収集しました。美術館の設立は、彼が日本から持ち帰った美術品を一般に紹介する目的で行われました。

最初の展示は、1905年にリグーリア美術学校の三階に設置されました。この美術館は1940年までその場所で開館していましたが、第二次世界大戦の勃発とともに、ジェノヴァ市によって疎開され、その後、キヨッソーネの遺言に基づき市の所有になりました。戦後には、彼のコレクションを長期的に保存できる施設の設計と建設が検討され、1953年に新しい美術館の建設が始まりました。そして1970年に完成し、1971年には正式に開館しました。

所蔵品

キヨッソーネのコレクションは非常に豊富で、約15,000点以上の作品が含まれています。特に注目すべきは、浮世絵版画が3,269点、肉筆浮世絵が286点以上ある点です。さらに、大仏像や甲冑、絵画、陶器など、多様なジャンルの作品が展示されています。

所蔵作品の一部には、以下があります：

• - 「初代大谷広次のはしば久吉と二代目三条勘太郎の若衆」 (鳥居清信による細版漆絵)
• - 「二代目市川団十郎と初代佐野川万菊」 (鳥居清忠による細版漆絵)
• - 「しゃぼん玉を吹く美人」 (礒田湖竜斎による柱絵判)
• - 「御殿山の花見駕籠」 (喜多川歌麿による大判錦絵3枚続)
• - 「雪中の花魁」 (渓斎英泉による掛物絵)
• - 「月夜楼上芸妓図」 (歌川広重による絹本着色)

これらの作品は、キヨッソーネが収集した日本の美術を直接伝え、訪れる人々に魅力的な視覚体験を提供します。また、美術館の空間は、彼の豊かなコレクションを観賞するための理想的な環境を提供しています。

現在の利用

キヨッソーネ東洋美術館は、一般に広く開放されており、見学者は彼の遺産を通じて日本の美術に触れることができます。美術館では定期的に特別展やワークショップも行われ、来館者にとってより深い理解と体験を促進しています。この美術館は、文化理解や国際交流の架け橋となる重要な役割を果たしていると言えるでしょう。

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