キルペリク1世

キルペリク1世（539年 - 584年）は、メロヴィング朝フランク王クロタール1世の末子として生まれました。彼はソワソンの王、すなわちネウストリア王として561年から584年まで在位しました。

生涯

クロタール1世が561年にコンピエーニュ近郊で亡くなると、キルペリク1世は父の財宝を没収し、従士の首領たちに分け与えることで、自身の地位を確立しようとしました。パリを占領後、兄弟たちと王国を分割統治することで合意し、父の領地であったソワソンを領有することになりました。

567年、兄カリベルト1世が亡くなると、キルペリク1世はパリの一部とリモージュ、カオールなどの都市、そしてピレネー地方を相続しました。同年、彼は西ゴート王アタナギルドの娘ガルスヴィントと結婚しますが、翌年、ガルスヴィントはキルペリク1世の指示を受けた者によって暗殺されてしまいます。この事件は、ガルスヴィントの妹ブルンヒルドと結婚していたキルペリク1世の兄、シギベルト1世（アウストラシア王）との間に「血の復讐」を求める争いを引き起こしました。

グントラム（ブルグント王）の仲裁により大民会が開かれ、サリカ法に基づき、リモージュなどの都市はブルンヒルドの所有とすることが決定されました。しかし、この決定に不満を持ったキルペリク1世は、573年にアウストラシア領であるトゥールとポワティエに侵攻し、フランク王国の内戦が勃発しました。この内戦は、キルペリク1世の刺客によってシギベルト1世が暗殺されるまで2年間続きました。

その後もアウストラシアを狙い続けたキルペリク1世でしたが、584年9月、狩猟からの帰りに刺客によって暗殺されました。下手人は侍従のエベルルフであるとされ、彼の所領は没収されました。

キルペリク1世の生涯は、メロヴィング朝フランク王国の権力闘争と、その中で繰り広げられた陰謀と暗殺を象徴するものと言えるでしょう。彼の妻の殺害、兄弟との領土争い、そして自身の暗殺は、当時のフランク王国の不安定な政治情勢を如実に物語っています。

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