キルワ・キシワニとソンゴ・ムナラの遺跡群

キルワ・キシワニとソンゴ・ムナラの遺跡群

キルワ・キシワニとソンゴ・ムナラの遺跡群は、タンザニアにご存在するユネスコの世界遺産です。これらの遺跡は、かつて東アフリカの重要な交易地として栄えた歴史を物語っています。特にキルワ島は、9世紀から商業活動が行われ、繁栄の時代を迎えました。現在はその多くが木々に覆われ、廃墟と化していますが、その名残は今なお見ることができます。

キルワ・キシワニの歴史

キルワ島は、タンザニア沖に位置し、歴史的には重要なイスラム教徒のコミュニティが築かれました。9世紀にはアリ・ビン・アル＝ハサンなどの商人がここを支配し、以降何世紀にもわたって交易の中心都市として発展しました。 取り扱われていた交易品は、ジンバブエの黄金や鉄、タンザニアの象牙、アジアの繊維や宝石、さらには香辛料など多岐にわたりました。

13世紀にはマフダリ家の支配の下で、キルワは東アフリカ沿岸部で最大の都市となり、その影響圏はモザンビークにまで及びました。 1330年頃には旅行家イブン・バットゥータもこの島を訪れ、統治者の謙遜さと信仰心を絶賛しています。この頃に建設されたフスニ・クブワ宮殿や、拡張されたキルワの大モスクは、当時の繁栄を今に伝える重要な遺構です。

しかし、16世紀初頭にはポルトガルが到来し、1512年までこの地を支配しました。その後、アラブ商人たちによって一時的に奪還されましたが、1784年にはオマーンの支配を受け、続いてフランスによる要塞化が進みました。1840年にはキルワ島も放棄され、その後1886年から1918年までドイツ領東アフリカに組み込まれました。 1950年代に入ってからは本格的な考古学的調査が行われ、多くの遺跡，特に大モスクの跡やムクティニ宮殿の跡が注目されています。

ソンゴ・ムナラの遺跡

ソンゴ・ムナラは、キルワ・キシワニと異なり、その記録はほとんど残っていませんが、14世紀から15世紀の時期に繁栄していたことがほぼ確実です。この島の遺構には、5つのモスクの跡があり、現在はマングローブ林に覆われているため、発見が難しい状態です。

世界遺産としての価値

この遺跡群は、ユネスコ世界遺産登録基準において、消滅した文明の貴重な証拠として評価されています。 さらに、2004年には「危機遺産リスト」に登録され、熱帯特有の気候により遺跡が侵食され続ける問題も抱えています。 土壌の流出など、周辺環境からの影響も考慮され、保護対策が急務とされています。

その後、2014年には危機遺産リストから除去されるまでに至りましたが、キルワとソンゴ・ムナラは今なお多くの歴史的文化的意味を持つ貴重な地域です。この遺跡群の保存と研究は、未来の世代にとっても価値があることでしょう。

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