キングウッド

キングウッドについて

キングウッド（学名：Dalbergia cearensis）は、小さな樹木で、主にブラジルに生息しています。この木は、マメ科ツルサイカチ属に属し、ワシントン条約附属書IIの対象とされています。これによりキングウッドは、その生息地や利用に制限が掛かっています。実際、キングウッドは、ダルベルギア・ニグラ（ブラジリアンローズウッド）などの他の種類とは異なる特性を持つ生材です。特に、ウルシ科の木材であるゴンサロアルベスも「キングウッド」と呼ばれることがありますが、明確に異なる分類であることを理解する必要があります。

分布と生育地

キングウッドは、南アメリカに位置するブラジルの特定の地域に限定して育つため、入手が困難で貴重な木材とされています。自然環境においては、周囲の生態系にとっても大切な要素であり、動植物の生息地を守る重要性もあります。

外見と性質

この木の樹高は一般に15から30メートルほどですが、最大でも直径25センチメートルを超えることは非常に希少です。キングウッド材の外観は、美しい濃い赤紫褐色の心材と、温かみのある色彩の縞模様が特徴です。これに対し辺材は近い色調ながらもほぼ白色をしています。年輪は微細で視認しづらく、そのため木目は独特の深みを持っています。

さらに、この木材は気乾比重が1.20と重く、天然乾燥時の割れが懸念されていますが、人工乾燥においては安定した性質を保ちます。また、加工の際の強度が高く、刃先を鋭く維持していれば、手道具や機械でも容易に扱えます。木材は香りがあり、木屑はバラに似た甘い香りを持っているため、木工家たちにとってはその特性が際立っています。

用途と歴史

キングウッドはその美しさから、古き良き家具の修復や模造品製作に多く用いられます。また、木管楽器や高級箸、さらには彫刻された工芸品や木鉢の製作にも人気があり、特にろくろ細工ではその特性を生かして高い需要があります。小さなサイズのため、使用する際には鋸で挽いて化粧単板にし、寄木細工などに利用されています。

歴史的に見ると、フランスのルイ14世およびルイ15世の時代、またイギリスのジョージ王朝でも、この木材は高級家具で人気を博しました。パリのキャビネット工房では、キングウッドが好まれて多く使用され、その美しい仕上がりは特に評価されました。

まとめ

キングウッドは、その色彩美と高い強度、加工性から特に珍重される木材です。限られた生息地と特有の特性から、作品や家具に用いる際には大いにもたらす価値があります。木材の王様と呼ばれる所以は、まさにその独特な美しさと良質な特性にあるのです。

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