キングスピード

キングスピード：平地と障害の両方を制覇した伝説の名馬

キングスピード（1966年3月10日 - 不明）は、日本の競馬史にその名を刻んだ稀代の競走馬です。1970年には、前人未到の障害競走10連勝という偉業を達成し、啓衆社賞最優秀障害馬にも輝きました。しかし、その活躍は障害競走だけにとどまりません。平地競走においても、重賞競走である京都杯を制覇するなど、類まれな能力を証明しました。

華々しいデビューから京都杯制覇へ

1968年8月10日、小倉競馬場でデビューを果たしたキングスピードは、その後ほぼ休むことなくレースに出走を続けました。翌年には皐月賞にも挑戦しましたが、22着という結果に終わっています。毎日杯では2着に入るなど、一定の成績を残してはいましたが、京都杯では12頭立ての最低人気と評価されていました。

しかし、運命の京都杯当日、不良馬場という条件がキングスピードの真価を引き出しました。大逃げを打つ戦法で、2着のアカネテンリュウに9馬身差をつける圧勝劇を演じたのです。このレースには、東京優駿（日本ダービー）優勝馬ダイシンボルガードや、その2着馬ミノル、そして後の菊花賞馬アカネテンリュウといったそうそうたるメンバーが出走していました。最低人気馬による大金星は、関係者のみならず多くの競馬ファンを驚かせました。

続く菊花賞では、強豪ハクエイホウらの存在もあり、先頭に立つことができず、3コーナーで力尽きて20着に敗退しました。このレースの結果は、キングスピードの才能が平地競走よりも障害競走に向いていることを暗示していたのかもしれません。

障害競走での無敵の強さ

1970年の2月から8月にかけて、キングスピードは障害競走に転向します。すると、そこで彼は驚異的な強さを発揮しました。10戦10勝という圧倒的な成績を収め、日本最多障害連勝記録を樹立したのです。中でも、1970年8月9日の障害オープンでは、前年の京都大障害優勝馬ブゼンエイトとのマッチレースとなり、キングスピードはレコードタイムで勝利を収めました。この時の単勝オッズは120円と、非常に低いものでした。

突然の引退と不明な消息

しかし、その後キングスピードは脚部不安を発症し、長期休養を余儀なくされます。そして、1972年には登録抹消され、地方競馬へ転出しました。しかし、それ以降の消息は一切不明となっており、多くの競馬ファンにとって大きな謎となっています。

偉大な血統と卓越した適性

キングスピードの父は、1955年の東京優駿（日本ダービー）を不良馬場で8馬身差の大差で制した名馬オートキツです。その重馬場での強さは、キングスピードにも受け継がれていました。母クインダービーは鹿児島産、2代母オールクインは宮崎産という、生粋の九州産馬です。

結論

キングスピードは、平地競走と障害競走の両方で活躍した、稀有な競走馬でした。その華麗な戦績と、謎に包まれた晩年は、多くの競馬ファンに語り継がれる伝説となっています。その名と記録は、競馬史に永遠に刻まれることでしょう。

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