キングハウス (アイルランド)

キングハウス (King House)

アイルランド中央部のロスコモン県ボイルに位置するキングハウスは、かつての貴族の館であり、現在は博物館として訪れることができます。この建物は、17世紀の戦乱による影響を受けつつ、パッラーディオ建築のスタイルで建設されています。設計はウィリアム・ハーフペニーによるものですが、エドワード・ラヴェット・ピアースの助手としての経験が色濃く反映されています。

歴史的背景

キングハウスは、1720年から1740年にかけて、準男爵であるサー・ヘンリー・キングのために建てられました。これはボイル市でも有名なタウンハウスであり、初代キングストン伯爵エドワード・キングも住んでいた歴史ある邸宅です。しかし、1788年に発生した火災によって邸宅は損傷を受け、その後キング家はボイル郊外のロッキンガム・エステートに移り住むこととなり、1795年にはこの建物が戦争省に売却されました。

19世紀に入ると、キングハウスはコノート・レンジャーズやロスコモン・ミリシアといった民兵組織の兵舎として使用されました。また、1922年のアイルランド自由国独立の際には、国民軍がこの施設に入隊し、「ドッカリー・バラック」と改名されました。第二次世界大戦期間中には、第3歩兵大隊も駐屯するなど、長らく軍事施設として利用されていました。

その後と再生

時が経つにつれて、キングハウスは徐々に廃れ、1970年代には駐車場にする案が持ち上がるまでになりました。しかし1987年、ロスコモン県の当局がこの建物を取得し、4年にわたり修復が行われました。その結果、ボイル市民芸術コレクション、コノート・レンジャーズ連盟の展示施設、ボイル町立図書館などが館内に入居し、現在は地域の文化施設として新たな息吹を吹き込まれています。

建築の詳細

キングハウスの建築スタイルは、全体的にはパッラーディオ建築に基づいていますが、細部には古典主義の装飾やベネチア窓が取り入れられています。また、外観には17世紀の戦乱期を思わせる要塞的な要素も見られるのが特徴です。全体の形状はU字型に配置されていますが、当初は長方形での配置が意図されていたわけです。

特に注目すべきは、1階に設けられた「ロング・ギャラリー」です。ここは八角形の石タイルを使った美しいパターンが施されており、見学者の目を引きつけます。このギャラリーは、当時の貴族たちの生活様式や文化的背景を語る重要な場所でもあり、来訪者に貴族の歴史を感じさせる場となっています。

キングハウスは、歴史的な価値を持つだけでなく、現代のアートや文化が体験できる貴重なスポットです。アイルランドの歴史と文化に触れながら、訪れる皆様には素晴らしいひとときを提供しています。

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