キング・オブ・アームズ

キング・オブ・アームズ（上級紋章官）について

キング・オブ・アームズは、紋章学において重要な役割を担う上級紋章官です。初期にはキング・オブ・ヘラルドと呼ばれていました。多くの国における紋章の伝統において、キング・オブ・アームズのみが紋章を新たに与える権限を持っています。もしその名の職位が存在しない場合でも、同様の権限が他の紋章官に委任されることがあります。

日本語では、上級紋章官、紋章院長官、紋章院部長などと訳されることがありますが、定訳は存在しません。

各国におけるキング・オブ・アームズ

キング・オブ・アームズの制度は国によって異なり、その権限や役割も様々です。

イングランド: 紋章の付与には、紋章院総裁（アール・マーシャル）の承認が必要です。
アイルランド: チーフ・ヘラルドがキング・オブ・アームズと同様の権限を持ちます。
カナダ: 総督がイギリス国王の代理として紋章を付与し、チーフ・ヘラルドが実務を担当します。
スコットランド: ロード・ライアン・キング・オブ・アームズが君主からの直接の委任により王権を行使します。
スペイン: クロニスタス・デ・アルマス（紋章記録者）が紋章を保証する権能を持ちます。

イングランドとスコットランドのキング・オブ・アームズは、職位を示す特徴的なコロネットを儀式の際に着用します。エリザベス2世の戴冠式で使用されたコロネットには、ラテン語の詩篇の一節が刻まれていました。近年では、ロード・ライアンのためにスコットランド王の王冠に倣った新しいクラウンが作られました。

各国のキング・オブ・アームズの例

以下は、各国のキング・オブ・アームズまたはそれに相当する役職の例です。

イングランド
ガーター主席紋章官（Garter Principal King of Arms）
クラレンス・キング・オブ・アームズ（Clarenceux King of Arms）
ノロイ・アンド・アルスター・キング・オブ・アームズ（Norroy and Ulster King of Arms）
スコットランド: ロード・ライアン・キング・オブ・アームズ
チーフ・ヘラルド
カナダ: チーフ・ヘラルド・オブ・カナダ (The Chief Herald of Canada)
アイルランド: チーフ・ヘラルド・オブ・アイルランド (The Chief Herald of Ireland)
その他
南アフリカ: ナショナル・ヘラルド・オブ・サウス・アフリカ (The National Herald (State Herald) of South Africa)
スウェーデン: ステート・ヘラルド・オブ・スウェーデン (The State Herald (Statsheraldiker) of Sweden)
スペイン: クロニスタス・レイェス・デ・アルマス (Cronistas Reyes de Armas)

参考文献

Wise, Terence (2001年9月26日) [1980年]. 中世の紋章―名誉と威信の継承. 鈴木渓 (初版 ed.). 東京都千代田区: 新紀元社. ISBN 4-7753-0001-6

関連項目

紋章学
紋章院
紋章官
ヘラルド・オブ・アームズ
パーシヴァント・オブ・アームズ

外部リンク

The College of Arms
The Court of the Lord Lyon
The Canadian Heraldic Authority
* The Office of the Chief Herald of Ireland

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