キンメペンギン

キンメペンギン（学名：Megadyptes antipodes）は、ペンギン目ペンギン科に属する鳥類で、現生種ではこの種のみでMegadyptes属を構成しています。別名としてキガシラペンギン、グランドペンギン、ホイホとも呼ばれます。学名のMegadyptes antipodesは、「対蹠地（ニュージーランド）の大きな潜水者」という意味を持ちます。

分布

キンメペンギンは、ニュージーランドの南島南東部、スチュアート島、および亜南極諸島（キャンベル島、オークランド諸島）に生息しています。特に、ダニーデン郊外のオタゴ半島の営巣地が有名です。

形態

全長は66〜78cmで、個体によっては80cmを超えるものもいます。体重は5〜8kgです。頭部から頸部にかけての羽毛は黄色で、黒い横縞が入ります。嘴の付け根から眼を通り後頭部にかけて、太く黄色い筋模様が見られます。体の上面は青灰色、下面は白い羽毛で覆われています。虹彩は鮮やかな黄色をしており、嘴は淡黄色で先端が赤褐色、後肢はピンク色です。卵の殻は緑白色をしています。

生態

食性は動物食で、魚類やイカなどを主に食べます。日中は、海岸から15km沖合まで移動して採食を行い、水深100mの地点で網にかかった例も報告されています。キンメペンギンは群れではなく単独で採餌を行います。消化が早いため、繁殖期には手当たり次第に餌を採り、腹を満たすと急いで巣に戻り、ヒナに餌を与えます。
繁殖形態は卵生で、集団繁殖地（コロニー）は形成しません。9〜10月にかけて、密生した茂みの中の地面の窪みに2個の卵を産みます。雌雄交代で抱卵を行い、抱卵期間は39〜51日です。雛は孵化してから14週間で巣立ちます。オスは生後3〜5年、メスは生後2〜3年で性成熟を迎えます。

天敵としては、アシカ、サメ、オニカマスなどが挙げられます。ヒナはノラネコ、フェレット、オコジョ、ドブネズミなどに捕食されることがあります。寿命はオスが約11年、メスが約9年です。

人間との関係

キンメペンギンは、現在ニュージーランドに生息するアシカと同様に、南島に土着した生物ではなく、より小型の近縁種であるワイタハペンギンが、マオリ人の到来によって1500年代に絶滅した後、亜南極諸島から到来し、生態的地位を占めたと考えられています。生息地の破壊、人為的に移入されたイヌ、ネコ、オコジョ、フェレットによる捕食などによって生息数が減少しました。また、漁業や観光がその生息数に影響を与えていると考えられています。さらに、アシカ猟の禁止が、被捕食者であるキンメペンギンの減少につながっているという見方もあります。

政府機関やキンメペンギン・トラストによる調査や生息数の推定、保護活動が進められています。1997年における繁殖個体数は、2260〜2420ペアと推定されています。

キンメペンギンは、その美しい姿と特異な生態を持つ一方で、人間活動の影響を大きく受けている種です。彼らの保護のため、さらなる努力が求められています。

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