キヴ紛争

キヴ紛争（Guerre du Kivu）とは

キヴ紛争は、コンゴ民主共和国東部で2004年から継続している武力紛争です。コンゴ民主共和国軍（FARDC）とルワンダ解放民主軍（FDLR）が主な交戦勢力であり、地域に深刻な影響を与え続けています。紛争は大きく分けて3つの時期に区分されます。

第一期: 2004年から2009年
第二期: 2012年4月から2013年11月
第三期: 2015年1月末から現在まで

国際連合コンゴ民主共和国安定化ミッション（MONUSCO）が平和維持活動に尽力していますが、依然として不安定な状況が続いています。

紛争の背景

紛争の背景には、第二次コンゴ戦争（1998年〜2002年）が深く関わっています。当時、ローラン・ンクンダはルワンダの支援を受けた反政府勢力の一員として活動していました。戦争終結後、彼は政府軍の大佐に就任しますが、後に政府に反旗を翻し、北キヴ州で武装勢力を率いることになります。

また、コンゴ東部にはスズ、金、コルタンなどの鉱物資源が豊富に埋蔵されており、これらの資源を巡る争奪戦も紛争を激化させる要因となっています。国連は、武装勢力による不法な鉱物資源採掘を支援する者に対し、制裁措置を科すことを発表しています。

主要な当事者

コンゴ民主共和国軍（FARDC）: コンゴ民主共和国の正規軍。
ルワンダ解放民主軍（FDLR）: フツ系武装勢力。ルワンダ虐殺に関与したインテラハムウェの構成員が多く在籍。
人民防衛国民会議（CNDP）: ツチ系武装勢力。ローラン・ンクンダが率いた。
国際連合コンゴ民主共和国安定化ミッション（MONUSCO）: 国連の平和維持部隊。2万人以上の人員が投入されている。

紛争の経過

第一期（2004年〜2009年）

2004年: ンクンダ部隊がブカヴを占領。CNDPは国連の交渉により撤退。
2005年: ンクンダがコンゴ政府の打倒を掲げ、政府軍との衝突が激化。
2006年: 国際社会はンクンダの逮捕を求めるが、MONUCは拒否。国連安全保障理事会は彼自身への制裁を決定。
2007年: コンゴ政府はンクンダの脅威を防ごうとするも、5つの旅団が彼の指揮下に入る。ンクンダ部隊が中学校や小学校を占拠し、児童を強制的に自軍に参加させる。
2008年: ンクンダ側の部隊がヴィルンガ国立公園沿いの軍事拠点を制圧。ゴマで暴動が発生。反乱軍がゴマに迫る。
2009年: ルワンダ軍がンクンダを逮捕。CNDPがコンゴ政府と平和条約を締結し、政党に移行。第一期が終結。

ンクンダ逮捕後の動き

2009年1月22日、ローラン・ンクンダはルワンダ軍によって逮捕されました。ルワンダ政府は当初、国際逮捕状が出ているンクンダをコンゴ民主共和国へ引き渡すかどうかを明言しませんでしたが、合同軍の作戦の一環としてンクンダの身柄確保が行われたと説明しました。

同年3月23日、人民防衛国民会議（CNDP）は構成員の釈放と引き換えにコンゴ政府と平和条約を締結し、政党へと移行しました。これにより、キヴ紛争の第一期は終結を迎えました。

現在の状況

キヴ紛争は、和平協定が締結された後も完全には終息していません。紛争の根本原因である民族対立や資源を巡る争いが依然として存在しており、地域の安定化には更なる努力が必要です。MONUSCOは引き続き平和維持活動を行い、人道支援や紛争解決に向けた取り組みを続けています。

関連項目

進行中の武力紛争のリスト
* 第二次コンゴ戦争

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