キーストン・スタジオ

キーストン・スタジオ：喜劇映画の殿堂、その興亡と遺産

キーストン・スタジオは、1912年7月4日にマック・セネットによってカリフォルニア州ロサンゼルス郊外に設立されました。当初は「キーストン・ピクチャーズ・スタジオ」という名称で、セネットがアダム・ケッセル、チャールズ・O・バウマンの支援を受けて開設しました。設立当初、スタジオはロサンゼルス郊外のグレンデールやシルバーレイク周辺で映画撮影を行い、ミューチュアル・フィルム・コーポレーションが配給を担当していました。

スラップスティック・コメディとスターの誕生

キーストン・スタジオは、キーストン・コップスのドタバタ喜劇や「セネット水着美女」シリーズで一躍有名になりました。また、ヴォードヴィル出身のチャールズ・チャップリンを見出し、サイレント映画界のスターへと押し上げた功績は特筆に値します。チャップリンはキーストン時代に数々の短編映画に出演し、その才能を開花させました。

キーストンには、チャップリン以外にも、マリー・ドレスラー、ハロルド・ロイド、メーベル・ノーマンド、ロスコー・アーバックル、グロリア・スワンソンなど、サイレント映画史を彩るスターたちが集結していました。彼らはキーストンでキャリアをスタートさせ、その後の映画界を牽引する存在となっていきました。

セネットの独立とスタジオの衰退

1915年、キーストン・スタジオはD・W・グリフィスとトーマス・H・インスが設立したトライアングル・フィルム・コーポレーション傘下に入りました。しかし、1917年に創業者であるマック・セネットが独立し、自身の映画会社を設立すると、キーストン・スタジオの勢いは徐々に衰えていきました。セネットの退社後、スタジオは事業を縮小し、1935年に倒産しました。

その後

スタジオの照明機材や施設は、レイモンド・キングが設立したアワード・シネマ・映画機材社に買収されました。その後、キーストン・スタジオの名前は、1994年のコメディ映画『ザ・プロデューサー』で製作会社名として使用されました。さらに2005年には、カール・コールパートとリー・キャプリンが共同でキーストン・スタジオという映画製作・配給会社を設立し、翌年には商標登録も行われました。

キーストン・スタジオは、短命ながらも映画史に大きな足跡を残しました。そのスラップスティック・コメディは、後の映画に大きな影響を与え、チャップリンをはじめとする多くのスターを輩出した功績は、永遠に語り継がれるでしょう。

キーストン・スタジオに関する画像

参考文献
Lahue, Kalton (1971); Mack Sennett's Keystone: The man, the myth and the comedies; New York: Barnes; ISBN 978-0-498-07461-5
Neibaur, James L. (2011); Early Charlie Chaplin: The Artist as Apprentice at Keystone Studios; Lanham, MD: Scarecrow Press; ISBN 978-0-8108-8242-3
* Walker, Brent (2009); Mack Sennett's Fun Factory Jefferson, NC: McFarland and Co. ISBN 978-0-7864-3610-1

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