キーロフ級ミサイル巡洋艦

キーロフ級ミサイル巡洋艦

概要

キーロフ級ミサイル巡洋艦は、ソビエト連邦海軍及びロシア海軍の重原子力ミサイル巡洋艦で、その原級は名前に由来しています。この艦級は、ソ連崩壊後に「アドミラル・ウシャコフ」と改名された後もその存在感を保持しています。公式には1144号計画型重原子力ミサイル巡洋艦として認識され、計画名は「オルラン」と名付けられています。この艦級は、航空母艦を除けば水上戦闘艦としては世界最大規模を誇り、高い対水上打撃能力と防空力を兼ね備えています。

開発背景

1960年代に入ると、ソ連海軍は原子力推進の艦艇を導入する構想を持ちました。これにより開発されたのが1144型ミサイル巡洋艦で、対潜艦と防空艦を組み合わせた運用を目指していました。1971年には、ドミトリー・ウスチノフ国防相が1144型の開発を正式承認し、その概念を具現化しました。これにより、一番艦のキーロフは試験艦としての役割を持つことになり、2番艦以降は改良型が計画されました。

船体設計

この艦級の設計には、ステルス性が考慮され、レーダー反射断面積の低減が図られています。ミサイル発射機に初めて垂直発射方式が採用され、外部構造はレーダー反射を抑えるために傾斜を活用しています。その結果、NATOのレーダーに「小型フリゲート」として誤認された事例もあります。また、艦体には総重量1,100トンに及ぶ装甲が施され、重要な部位には特別な装甲が用意されるなど防御力が強化されています。

機関

この艦級は、核動力に加えて蒸気タービン主機を併用したCONAS方式を採用しており、これは当時世界に類を見ないものでした。さらに、原子炉は初期はVM-4型が使用される予定でしたが、艦の特性に合わせてKN-3型に変更されました。これにより、寿命は約10年強と見積もられていますが、実運用では頻繁に原子炉を稼働させる必要があり、寿命は短縮される傾向にありました。

装備

C4ISRシステムとしては、長距離捜索用のMR-800レーダーが搭載されています。対潜・対艦能力はMG-355「ポリノム」ソナーが初めて搭載され、強力な探知能力を持っています。武器システムとしては、艦対艦ミサイルP-700「グラニート」を搭載し、最大700kmの射程を誇っています。また、防空ミサイルシステムにはS-300Fが装備され、防空体制の強化が図られています。

近代化計画

本級は長年の使用に伴い、近代化不足が指摘されており、特にアドミラル・ナヒーモフの近代化が公式に発表され、複数の装備が最新のものに更新されることが明言されています。これにより、艦の戦闘能力が飛躍的に向上すると期待されています。

配備状況

キーロフ級は計画時に7隻が発注され、実際には4隻が竣工しました。 現在では、4番艦の「ピョートル・ヴェリーキイ」が現役で、旗艦としての役割を果たしています。

登場作品

この艦級は多くのフィクション媒体に登場しており、特に『ザ・ラストシップ』や『沈黙の艦隊』などで描かれてきました。映像作品の中では、特有のデザインや役割が強調され、視聴者に強い印象を与えています。

このように、キーロフ級ミサイル巡洋艦はその独自の設計や強力な武装により、常に話題に上る艦艇であり、その影響力は今なお色褪せることがありません。

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