キ107 (航空機)

キ107：日本陸軍の練習機

日本陸軍で試作された練習機、キ107は、第二次世界大戦中に東京航空によって設計され、主に木材を用いて製造されました。本機は初歩的な練習機として開発され、資材不足の厳しい状況下においても重要な戦力として期待されていましたが、残念ながら量産には至らず、終戦を迎えることとなりました。

概要

昭和16年末、東京航空は木製初歩練習機の自主開発を開始しました。これは太平洋戦争開戦直後の急速な軍需の必要性に応えるものであり、日本陸軍はこの開発に注目します。1943年7月、陸軍はキ107という名称で試作機の発注を行い、設計された機体は低翼単葉機の形状を取り、航行の効率と耐久性を重視したシンプルなデザインが採用されました。

また安全面にも配慮されており、転覆時の搭乗員保護のため、座席間に鉄パイプで構成されたロールオーバーフープが設けられています。最初の試作機は1943年10月に完成し、さらなる性能確認のための審査が行われました。

開発と量産の過程

陸軍による審査は1944年1月末まで続き、全体的に好評を得たため、東京航空の工場がある新潟県村上での量産が決定されました。しかし、東京航空は小規模なメーカーであり、大量生産の経験が欠けていたため、量産があまり進まず、終戦までに完成した機体は46機程度とされています。一部の完成機は実際に訓練部隊に配属されたという記録も残っています。

評価と課題

キ107の性能に関しては議論があり、正反対の評価が存在します。文林堂から出版された「日本陸軍キ番号カタログ」では、試作機が墜落したため以降の開発が中止されたと記載されていますが、一方で実用的な性能を持っていたという意見も存在します。特に四式基本練習機（キ86）が大量生産されていたため、本機の独自性には疑問が残ります。しかし、キ107の開発で積み上げられた技術は、後の大型木製輸送機キ105の設計に貢献した点で評価されています。

スペック

• - 全長：8.055 m
• - 全幅：10.02 m
• - 全高：2.25 m
• - 主翼面積：15.44 m²
• - 自重：590 kg
• - 全備重量：829 kg
• - エンジン：日立 ハ47 空冷倒立直列4気筒エンジン110 HP×1
• - 最大速度：197 km/h
• - 航続距離：475 km
• - 実用上昇限度：2,900 m
• - 上昇率：1,000 m/8'00
• - 乗員：2名

出典

小川利彦著『幻の新鋭機』光人社刊1999年-275ページ。

関連項目

• - 練習機の一覧
• - 練習機
• - 四式基本練習機
• - 紅葉
• - タ号

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