タ号

タ号試作特殊攻撃機の概要

タ号試作特殊攻撃機は、第二次世界大戦の太平洋戦争末期に大日本帝国陸軍によって設計された特別な攻撃機です。この機体は、主に本土決戦に備えたゲリラ的な運用を目的としており、爆弾を搭載した状態で敵艦船に体当たりする形での自爆攻撃を想定しています。機体名は、竹槍に由来しており、頭文字の「タ」を取ったものです。

開発は陸軍航空技術研究所の水山嘉之大尉によって1945年の2月に始まりました。当初は非公式な計画でしたが、後に公式な開発プロジェクトとなりました。このプロジェクトは陸軍航空技術研究所の指導の下、日本国際航空工業および立川飛行機の2社に開発が委託されました。タ号は、急速に生産が行えるように設計され、工場の疎開が可能で、特別な技術を持たない工員でも扱えるシンプルな構造が特徴です。

タ号には主に二つの型が存在しました。まず一つは国際製で、基本的なデザインは四式基本練習機に類似しています。全長は約5メートルで、単座仕様の機体です。この機体は「ハ47」と呼ばれるエンジンを搭載し、背中に100kgの爆弾を一つ備えています。主翼は低翼単葉で設計され、掩体壕に隠れるため外側を手動で折りたたむことができるよう工夫されています。固定式の主脚に加え、尾輪を排除した尾そり式の形状です。機体の構造は木製で、金属の使用を最小限に抑えつつ、工場で生産しやすい設計が採用されました。これはその生産装備の保護を考慮したもので、1945年の6月25日には試作初号機が完成しましたが、終戦に至るまで量産には至りませんでした。

もう一つの型は立川飛行機製で、こちらは全く異なる設計となっています。鋼製骨組みに密閉式風防を特徴とし、500馬力のエンジンを搭載していました。この型のタ号は、500kgの爆弾を装備しており、大型化されていました。立川製の試作機は2機が製作されましたが、初号機は完成直後に空襲で破壊され、試作2号機は製作途中に終戦を迎えました。この立川製タ号に使用されたエンジンは「ハ13甲」と呼ばれ、他の試作機と同様に比較的手に入りやすいものでした。

また、国際航空工業ではタ号に加えて別の特殊攻撃機として「つ号」や「義号」といった機体も試作されたとされていますが、その詳細は記録が残っていないため不明です。

性能諸元

日本国際航空工業製

• - 全長： 推定5m
• - エンジン： 日立 ハ47（海軍名称：初風一一型）
• - 速度： 150～200 km/h（推定）
• - 乗員： 1名
• - 武装： 100kg爆弾

立川飛行機製

• - エンジン： 日立 ハ13甲（海軍名称：天風）
• - 武装： 500kg爆弾

タ号は、戦局が厳しくなる中で生産しやすいよう工夫された飛行機でしたが、結果的に戦争の終結を迎える前に量産されることは叶いませんでした。

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