キ108 (航空機)

キ108とその発展型キ108改の概要

キ108は、第二次世界大戦中に大日本帝国陸軍のために開発された試作戦闘機である。この機体は川崎航空機によって設計され、元々はキ102を母体としている。1943年4月に、与圧室を備えた高高度戦闘機としての試作が始まり、短期間での開発を目的としてキ102を単座型に改良し、操縦室は繭型の与圧室となった。

開発の背景

当時、高高度での空戦が重要視されていたため、キ108の開発は急務とされていた。操縦者は機体の天蓋上部に設けられたハッチから出入りし、外部の地上勤務者がハッチを固定する形式であった。これにより、緊急時の脱出が難しくなるという課題が発生した。さらに、開発初期には気密室から油蒸気が漏れ出し、操縦者が呼吸困難に陥るといった問題もあった。しかし、高度10,000メートルでの気圧を3,000メートル相当に保つことができ、酸素マスクなしでの操縦が可能となるなど、性能自体は実用に耐えるものだった。

試作機の特徴

キ108の試作機には1号機と2号機があり、それぞれキ102の7号機と8号機を改造して製作された。1号機は1944年7月に、2号機は同年8月に完成したが、両機ともエンジンは当初のハ112-IIを使用していた。全長・全幅は若干大きくなり、試験が開始されたものの、気密室の不具合や電気系統のトラブルに悩まされる結果となった。そのため、キ108は高高度性能を向上させるための実験機としての性質が強かった。

キ108改の開発

1944年9月、さらなる高高度性能を目指してキ108の改良版であるキ108改が開発されることが決定した。この改良にはハ112-IIエンジンに排気タービンを装備し、主翼面積を拡大するための改修が含まれていた。また、プロペラもブレードを若干延長したハミルトン・スタンダード製のものを使用しており、主翼は九九式双発軽爆撃機二型乙（キ48-II乙）の部品を流用している。1945年3月には2機が完成し、試験飛行を実施したが、高高度におけるエンジン性能は目標に達しなかった。

さらに同年6月、空襲によって2機とも失われてしまい、キ108改の運用は断念された。

結末と歴史的意義

もともとのキ108は、1945年の終戦時に1号機が残っていたが、飛行できる状態ではなかった。結局、この機体はアメリカ軍に接収され、調査を受けた後に焼却処分された。結果として、キ108は高高度戦闘機としての試みの一環として位置づけられ、性能向上を目指した計画は具体化されることなく終了した。

将来的には、キ108およびその改良型が目指した技術的な成果が、他の航空機開発において影響を及ぼした可能性もあり、その存在は航空機開発の歴史において重要な意義を持つと言える。

もう一度検索