キ65 (航空機)

キ65戦闘機計画の概略

キ65は大日本帝国陸軍が計画した戦闘機または襲撃機であり、実際には製作されなかった機体である。この計画は1940年7月23日に三菱重工業に試作の指示が交付されたことに始まった。当初の設計では、キ65は単発・単座の襲撃機として設計され、三菱の「ハ101」または「ハ102」空冷複列星型14気筒エンジンを搭載する予定だった。このエンジンは最大で1,080馬力の離昇出力を持つものであり、試作初号機は1942年3月までに完成する計画だった。

しかし、設計の過程において陸軍は他の機体の開発状況を考慮し、1941年春頃にはキ65の試作計画を重単座型の戦闘機へと変更することを決定した。この変更に伴い、完成予定は1942年12月に設定されることとなった。また、1941年11月頃から1942年秋にかけて陸軍航空技術研究所が実施した「独逸派遣協同設計団候補者計画」では、キ65に基づく新しい単座型重戦闘機の試案も提案されており、これには三菱の「ハ211-II」エンジンとフォッケウルフとの共同設計が含まれていた。

しかし、十四試局地戦闘機の開発が困難を極めたため、三菱に対する正式な試作発注は行われなかった。その代わり、陸軍は1942年に航技研と満州飛行機に対して、新たに重単座戦闘機キ65の試作指示を行うこととなる。満州飛行機内に設置された特別班は、全金属製の単発・低翼配置の単葉戦闘機について基本設計を進めた。

こちらの計画では、試作機として3機と増加試作機として9機が製作される予定であり、その作業は陸軍航空工廠で行われる計画だった。初号機は1943年7月の完成を目指し、1944年5月には審査が完了し、生産に入る予定であった。しかし、1943年半ばに機種統合整理が行われた結果、計画は設計段階で中止されることとなった。

その後、キ65の後を継ぐ形で新たにキ98の計画が始まることになる。また、キ65に関しては複数のエンジン搭載案が存在し、三菱「ハ111」エンジンを装備した機体は「キ65甲」、三菱「ハ211-I」搭載のものは「キ65乙」、三菱「ハ211-V」搭載の機体は「キ65丙」と呼ばれることもある。このように、キ65は多様な設計案が存在しつつも、いずれも実現には至らなかったといえる。

参考文献

• - 秋本実『日本陸軍試作機大鑑』酣燈社、2008年
• - 佐原晃『日本陸軍の試作・計画機 1943〜1945』イカロス出版、2006年
• - 歴史群像編集部編『決定版 日本の陸軍機』学研パブリッシング、2011年
• - 野沢正『日本航空機総集 立川・陸軍航空工廠・満飛・日国篇』出版協同社、1980年

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