キ70 (航空機)

キ70〜日本陸軍の試作偵察機

キ70は、第二次世界大戦中に日本陸軍で設計され、立川飛行機によって製造された偵察機です。この機体は、前モデルである一〇〇式司令部偵察機の後継機として位置づけられましたが、開発過程で多くの要求に振り回され、最終的には開発が中止される運命をたどりました。

開発の経緯

1939年、日本陸軍は立川に新型の司令部偵察機の試作を依頼しました。この新機体は最高速度を650 km/hに設定し、立川は早速基礎研究に取り組みました。1941年10月に設計作業が始まり、1942年6月には設計が完了しました。試作機は、ロッキード L-14 スーパーエレクトラを参考にし、双発機のスタイルとすることで、当時の最新技術を取り入れました。特に「ハ104」エンジンを装備し、高出力を誇っていました。また、層流翼を採用し、ファウラー・フラップを搭載することで飛行特性の向上が図られ、機首をガラス張りにしたことで偵察員の視界も確保されていました。

仕様変更とその影響

しかし、開発の途中で陸軍からの要求が変更され、機体を軽爆撃機としても使えるようにするための仕様変更が指示されました。これにより、尾部に遠隔操作式の機銃を追加し、防弾装備を強化し、燃料タンクも増設する必要がありました。その結果、機体の総重量は約10トンに達し、期待された性能とは大きく乖離することとなりました。

1943年2月に試作1号機が完成し、続けて2号機も完成しました。飛行性能試験が実施されたものの、著しい重量増加のため、最高速度は580 km/hとなり、陸軍の期待値を90 km/hも下回る結果となりました。これに対して立川では、試作3号機の主翼面積を拡大し、より強力な「ハ111」または「ハ211ル」エンジンを搭載することを計画しましたが、開発の過程で一〇〇式司令部偵察機三型が630 km/hを達成したため、キ70の開発は不要となり、3号機の試作も中止されました。

プロジェクトの中止

さらに、より大出力の「ハ211」または「ハ211ル」エンジンを搭載した「キ70-II」が計画されていましたが、キ70自体の開発が終了したため、こちらも実現することはありませんでした。

機体のスペック

• - 全長: 14.50 m
• - 全幅: 17.80 m
• - 全高: 3.70 m
• - 主翼面積: 43.0 m²
• - 自重: 5,895 kg
• - 全備重量: 9,855 kg
• - 発動機: 三菱 ハ104 空冷副列星型18気筒 離昇2,000 hp × 2
• - 最大速度: 580 km/h
• - 巡航速度: 490 km/h
• - 実用上昇限度: 11,000 m
• - 航続距離: 2,500 km
• - 武装:

- 九八式旋回機関銃（7.92mm） × 1
- 一式十二・七粍固定機関砲 × 1
- 小型爆弾

• - 乗員: 3名

このように、キ70は当初の目的から大きく偏離し、様々な要求に応じた結果、開発が中止された機体であることが明らかです。

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