ギェンツェン・ノルブ (僧)

ギェンツェン・ノルブ：中国が認定したパンチェン・ラマ11世

ギェンツェン・ノルブ（1990年2月13日 - ）は、中華人民共和国チベット自治区出身のチベット族僧侶であり、中国政府によってパンチェン・ラマ11世として認定されました。この認定は、ダライ・ラマ14世が認定したゲンドゥン・チューキ・ニマとの間で、パンチェン・ラマの正統性をめぐる対立を生み出しています。

生い立ちと認定

パンチェン・ラマ10世の死去後、ダライ・ラマ14世はゲンドゥン・チューキ・ニマをパンチェン・ラマの転生者として認定しました。しかし、中国政府はこの認定を認めず、ゲンドゥン・チューキ・ニマを拉致。その後、1995年にギェンツェン・ノルブを金瓶掣籤（きんぺいせいせん）という方法でパンチェン・ラマ11世として認定しました。この認定は中国国務院によって承認されました。

金瓶掣籤の儀式については、後に亡命した高僧から、中国政府が籤（くじ）を操作したとする証言も出ています。この証言は、ギェンツェン・ノルブの認定の正当性に対する疑念を深める一因となっています。

幼少期を北京で過ごした後、ギェンツェン・ノルブは歴代のパンチェン・ラマが座主を務めるタシルンポ寺で仏事に携わっています。

主な活動と評価

ギェンツェン・ノルブは、中国共産党幹部との会見や、中国国内で開催される仏教フォーラムへの参加など、中国政府の意向に沿った活動を行っています。これらの活動を通じて、中国の宗教政策を支持する姿勢を示しています。

しかし、ダライ・ラマ14世とは異なり、国際社会や仏教界における認知度は高くありません。また、中国政府との関係の深さから、中国共産党の傀儡とみなされることもあります。チベット人社会においても、ダライ・ラマの承認を得ていないギェンツェン・ノルブを正統なパンチェン・ラマと認める人は少数です。

メディアにおける扱い

ギェンツェン・ノルブのカナ表記は、報道機関によって異なっています。これは、チベット人に一般的な姓がないことに起因します。

毎日新聞：ギャインツァイン・ノルブ、ノルブ
産経新聞：ノルブ

ギェンツェン・ノルブをモデルとしたフィクション

さいとう・たかをの劇画『ゴルゴ13』には、ギェンツェン・ノルブをモデルとしたキャラクターが登場します。このキャラクターは、中国政府が仕立て上げた傀儡のパンチェン・ラマとして描かれています。

まとめ

ギェンツェン・ノルブは、中国政府によって認定されたパンチェン・ラマ11世であり、その正統性は議論の余地があります。チベット仏教界における複雑な立場や、中国共産党との関係など、様々な側面から評価される人物です。

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