ギジェルモ・ラソ

ギジェルモ・ラソ：エクアドルの元大統領、その経歴と政治

ギジェルモ・アルベルト・サンティアゴ・ラソ・メンドーサ（Guillermo Alberto Santiago Lasso Mendoza）は、1955年11月16日生まれのエクアドルの政治家、銀行家です。彼はエクアドルの第47代大統領を務めましたが、任期途中で退任しました。彼の所属政党は機会創造党であり、中道右派、古典的自由主義者として知られています。

経歴

ラソはグアヤキルの中流家庭に、10人兄弟の一人として生まれました。彼は教皇庁立エクアドル大学を中退後、様々な職を経験しました。グアヤキル証券取引所の非常勤職員、債券回収代理店、金融会社を経て、1990年代にはコカ・コーラ社エクアドル支社長に就任しました。その後、コカ・コーラ社エクアドル支社の取締役やマベサ社の取締役を務め、公営のグアヤス交通委員会の取締役会議長やアンデス開発公社の取締役も務めました。

1994年には、グアヤキル銀行（Banco Guayaquil）のCEOに就任し、金融業界でのキャリアを築きました。

大統領選挙への挑戦と当選

ラソは過去に何度も大統領選挙に挑戦しています。2013年の総選挙では、現職大統領で左翼の経済学者であるラファエル・コレアに敗北しました。2017年の総選挙では、コレアの後継者であるレニン・モレノに再び敗北しました。しかし、2021年の総選挙では、コレアの盟友で左翼の経済学者であるアンドレス・アラウス元知識・人的能力調整相を破り、ついに大統領に選出されました。

大統領としての活動

大統領としてのラソは、様々な政策を推進しました。2021年12月17日には、ラソ大統領の下でエクアドル政府がCPTPP（環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定）への参加を申請しました。

しかし、彼の任期中には困難も多くありました。2022年6月13日より、燃料価格高騰に端を発した反政府デモが勃発し、全土に波及しました。これを受け、野党は大統領解任動議を国民議会に提出しましたが、解任に必要な票数に届かず、ラソの続投が決定しました。

2023年5月9日には、横領疑惑で野党が議会に提出した弾劾裁判動議が可決されました。同月17日、ラソは「深刻な政治的危機」に陥ったとして、憲法の規定に基づき議会を解散すると発表しました。これは、罷免を避けるための措置と見られています。議会選挙に加え、大統領選挙も前倒しで行われることとなりました。しかし、6月2日、ラソは大統領選挙に出馬しないと表明しました。

2023年11月23日に後継のダニエル・ノボアが大統領に就任したことで、ラソは任期を1年5カ月残して退任しました。

政策

ラソは自由市場を重視し、民間部門の生産性向上と雇用拡大のために規制緩和、減税、最低賃金向上や国債発行を支持しています。また、前任のモレノ政権と同様に、従来の反米左翼的外交からは距離を置き、アメリカやヨーロッパ、国際機関などとの関係改善を進めています。

彼はカトリック教徒ですが、エクアドル最高裁判所が下した強姦被害者の中絶を許可する判決に対して司法の判断を完全に支持するとしています。また、同性婚合法化に対しても、従来の結婚制度とは差別化すべきとしつつも、おおむね賛成しています。

ギジェルモ・ラソは、エクアドルの政治と経済に大きな影響を与えた人物であり、その政策とリーダーシップは、今後のエクアドルの方向性を左右する重要な要素となるでしょう。

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