ギドラン

ギドラン：ハンガリーが生んだ希少な馬

ハンガリーで改良された馬の一種、ギドランは、その希少性から絶滅危惧種に指定されています。アラブ種を祖先に持ち、現在では全世界で200頭ほどしか生存していないと言われています。別名ハンガリアン・アングロ・アラブとも呼ばれ、その歴史と特徴、そして日本との関わりについて見ていきましょう。

ギドランの歴史：1816年から続く血統

ギドランの歴史は、1816年、メズーヘジェシュ国立種馬牧場での品種改良に始まります。最初の種牡馬はサグラビー・ギドランと名付けられたデザートブレッドのアラブ種でした。この種牡馬は、アラブ種、トルコ種、スパニッシュ・ネープル種、そして東ヨーロッパの在来種牝馬と交配され、品種改良が進められました。1893年からはサラブレッド、その後にはシャギア・アラブ種の血も加えられ、現在のギドランの基礎が築き上げられました。

ギドランは、東ヨーロッパの他の馬の品種にも影響を与えました。チェコ・ウォームブラッド、オーストリアン・ウォームブラッド、ハンガリアン・ウォームブラッド、マロポルスキ、ノニウス、プレヴァン、ウクラニアン・ライディング・ホースなどとの交配も行われ、その血統は広く東ヨーロッパの馬の品種改良に貢献しました。また、ハンガリーの別の品種であるKisber Felverとも密接に関連しています。

ギドランの特徴：スピードとスタミナの両立

ギドランは、体高160cmから173cmの中型馬です。栗毛の馬体で、サラブレッド、アラブ種、アングロアラブの血を受け継いでいます。その特徴は、優れたスピード、スタミナ、敏捷性、そして精神的なタフさにあります。

外見の特徴としては、小さく直線的な馬体、整ったたてがみ、小さな耳、長い背、そして大きな目などが挙げられます。筋肉質で力強い体格を持ち、その見た目からもそのパワーを感じさせます。ギドランの繁殖登録は厳格で、4代にわたる血統の遡及調査と、最低体高15.2ハンド(約155cm)という基準を満たす必要があります。

日本とギドラン：アングロアラブへの貢献

20世紀初頭、馬の品種改良のため、ギドランは日本にも輸入されました。帝国競馬協会の血統登録では純血種としては認められませんでしたが、父がギドランで母がアングロアラブの場合は、その仔を内国産のアングロアラブとして登録することができました。

そのため、日本に輸入されたギドランの多くは、アングロアラブの血統に貢献することとなりました。戦後の日本の競馬界で活躍した多くの競走馬の血統の中に、ギドランの血を受け継ぐものが存在します。例えば、マスホマレやタイムライン、メイクマイウエーといった活躍馬を輩出したギドラン四一ノ一六、トモスベビーを出したギドラン三六ノ四、ケイエスヨシゼンの父であるゴンパスギドラン七など、その影響は大きいものがありました。

まとめ：未来への懸念と保護の重要性

ギドランは、その希少性ゆえに絶滅の危機に瀕しています。しかし、その歴史、優れた能力、そして日本における貢献を考えると、この貴重な馬を守り、その血統を未来へ繋いでいくことが重要です。スピードとスタミナを兼ね備えたギドランは、馬の歴史における重要なピースであり、これからもその存在意義を保ち続けていく必要があります。

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