ギニアアブラヤシ

ギニアアブラヤシについて

ギニアアブラヤシ（学名：Elaeis guineensis、英名：African oil palm）は、ヤシ科の植物であり、パーム油の主要な供給源です。この植物は、アフリカの西部および南西部、特にアンゴラとガンビアの間の地域が原産地とされています。種名の「guineensis」は、国名のギニアに由来するのではなく、原産地であるギニア地域に依存しています。ギニアアブラヤシは、赤道から20度以内の熱帯地域を中心に分布が広がっており、中米や西インド諸島、さらにはインド洋および太平洋の島々でも見られます。パーム油は、本種だけでなく近縁であるアメリカアブラヤシや遠縁のマリパヤシからも生産されます。また、パームオイルの歴史は古く、紀元前3000年にはエジプトのアビドスの墓から発見されており、この時代にはアラブの商人によってエジプトにもたらされたと考えられています。

歴史

Elaeis guineensisは、1763年にニコラウス・フォン・ジャカンによって初めて描かれました。その後、1848年にドイツ人がジャワ島に導入し、1910年にはスコットランド人のウィリアム・サイムとイギリスの銀行家ヘンリー・ダービーによって、当時のイギリス植民地であるマレーシアに持ち込まれました。1961年には、西アフリカで栽培されたギニアアブラヤシがナイジェリア東部からマレーシアへ輸出されるようになりました。ナイジェリア南部の海岸は、過去に貿易商によって「パーム油海岸」と呼ばれ、後に「ビアフラ湾」と改名されました。

用途

ギニアアブラヤシの様々な部分は、アフリカ伝統医学において利用されており、下剤や利尿剤、淋病治療、月経痛や気管支炎の改善、頭痛やリウマチの治療、創傷治癒の促進、皮膚感染の治療、解毒などに用いられています。

また、ギニアアブラヤシの果実からは食用のパーム油が抽出され、核からはパーム核油が得られます。一般的に、果実100kgから約22kgのパーム油と1.6kgのパーム核油を得ることができます。

栽培

現在、ギニアアブラヤシの生産量は、マレーシアとインドネシアが主導しており、特に2000年代にはインドネシアが生産の首位に立ちました。しかし、その一方で無秩序なヤシ園の開発や劣悪な労働環境が問題視されています。これを受け、2013年には「持続可能なパーム油のための円卓会議（RSPO）」によって、パーム油の認証制度が設立されました。

ヤシの病気

ギニアアブラヤシは、特に真菌マンネンタケ属によって引き起こされる「基礎茎腐敗病（BSR）」の影響を受けやすく、これはマレーシアとインドネシアにおいて非常に深刻な問題となっています。この病気は、油ヤシの植え付けサイクルを繰り返す中で80%近くの損失を引き起こす可能性があります。感染した木の中では、水分や栄養素の運搬に重大な問題が生じ、特に感染した茎の断面には明るい茶色い腐敗組織が見え、その周囲には不規則な形状の暗い帯が形成されます。

この病気への対処としては、早期の診断や感染防止策が求められており、ギニアアブラヤシの生産においても持続可能な管理が必要です。

もう一度検索