ギニア・カーボベルデ独立アフリカ党

ギニア・カーボベルデ独立アフリカ党（PAIGC）とは

ギニア・カーボベルデ独立アフリカ党（Partido Africano da Independência da Guiné e Cabo Verde, PAIGC）は、ギニアビサウの主要な政党です。かつてポルトガル領であったギニアビサウとカーボベルデの独立運動において、中心的な役割を果たしました。現在、社会主義インターナショナルに加盟しています。

2023年の総選挙では、国会の102議席中54議席を獲得し、ギニアビサウで最大の勢力となっています。2019年の大統領選挙では、党首のドミンゴス・シモーズ・ペレイラが立候補しましたが、マデムG15のウマロ・シソコ・エンバロ候補に決選投票で敗れました。

独立までの道のり

PAIGCは、1956年にマルクス主義者のアミルカル・カブラルによって設立されました。その目的は、ポルトガル領ギニアおよびカーボベルデ諸島の植民地からの独立を達成することでした。

1950年代のポルトガル領ギニアは、ポルトガル本国とアンゴラ、モザンビークといった他のアフリカ植民地を結ぶ中継地として、戦略的に重要な位置にありました。しかし、アフリカの植民地の中では最も貧しい地域のひとつでした。

1959年、ビサウの港湾労働者に対するポルトガル軍の発砲事件、いわゆるピジギリの虐殺が起こり、50人が殺害されました。この事件をきっかけに、PAIGCが主導する独立運動が活発化しました。しかし、当時のポルトガル政府は、これらの運動をPAIGCとは無関係とみなし、特別な鎮圧措置は行いませんでした。

1961年、モザンビークのモザンビーク解放戦線(FRELIMO)、アンゴラのアンゴラ解放人民運動、そしてPAIGCの3つの主要政党が、ポルトガル植民地ナショナリスト組織協議会(CONCP)を結成しました。CONCPは、国際的な舞台でこれらの政党の代弁者としての役割を担いました。

PAIGCは当初、穏健な活動を展開し、ポルトガルに対して平和的な撤退を要求しました。しかし、その要求が受け入れられなかったため、より過激な独立運動へと方針を転換しました。

1962年、PAIGCのゲリラ部隊によるプライアへの攻撃を皮切りに、ポルトガルに対する武力闘争が始まりました。物流の困難さから、カーボベルデ諸島での武力衝突は避けられ、ゲリラ活動はギニア地域に集中しました。カーボベルデでは、PAIGCは秘密裏に活動を続けました。アミルカル・カブラルは、軍事力が整うまで、サボタージュを中心とした抵抗運動を展開するよう指示しました。

1963年、カブラルはポルトガルに対して全面戦争を布告し、1月23日にはチーテにあるポルトガル軍基地で大規模な戦闘が行われました。北部地域でも襲撃が頻発し、PAIGCだけでなくギニア国家独立戦線(FLING)も、フラクンダおよびブバの警察署を襲撃しました。

冷戦下において、PAIGCはソ連、キューバ、中国から武器の支援を受け、これらの国々はゲリラ兵士の訓練も受け入れました。

1964年、PAIGCは解放区のカサカで第一回議会を開催し、政治的・軍事的な組織を強化するとともに、ゲリラ戦を担う人民革命軍(FARP)を再編しました。

コモ島はPAIGCによって占領され、ポルトガル空軍の空爆を受けるなど、激戦地となりました。ポルトガル軍は当初、PAIGCを過小評価しており、戦闘機や兵力をアンゴラとモザンビークの内戦に投入していました。PAIGCがギニアの統治を脅かす存在であると気付いた時には、すでに手遅れでした。ポルトガルは戦争末期まで、PAIGCと住民の関係を断絶させようとせず、本格的な対ゲリラ戦術も講じませんでした。その結果、ポルトガル軍が基地から離れて行動することは非常に危険な状況となりました。

コモ島を失ったポルトガル軍は、奪還のために陸海空軍合同のトライデント作戦を実行しました。PAIGCは果敢に抵抗しましたが、ポルトガル軍は多大な犠牲を払って島を奪還しました。71日間の戦闘と851回の出撃の後、ポルトガル軍はコモ島を奪還しましたが、作戦遂行によって消耗し、その2か月後には再びPAIGCによって占領されました。

PAIGCが南部地方のカンタニェスとキタフィネ半島に新たな拠点を築いたため、コモ島の戦略的な重要性は低下しました。この地域では、多くのポルトガル軍部隊がゲリラに包囲されることになりました。

1967年までに、PAIGCはポルトガル軍の駐屯地を147回攻撃し、ポルトガル領ギニアの3分の2を支配下に置きました。翌年、アントニオ・デ・スピノラが植民地総督として着任し、ポルトガルは新たな反ゲリラ作戦を展開しました。スピノラは大規模な建設政策を推進し、学校、病院、住宅を建設し、通信・道路網を改善することで、ギニアにおける大衆の支持回復を図りました。

1970年、ポルトガル空軍は、ベトナム戦争で米軍が使用したのと同様の兵器を使用するようになりました。ゲリラを発見した際にはナパーム弾が使用され、伏兵には枯葉剤が用いられました。スピノラの就任により、戦況は転換期を迎え、ポルトガル軍は戦闘で勝利を重ねるようになりました。また、隣国ギニア共和国のコナクリ市を攻撃し、PAIGCに捕らえられていた数百人のポルトガル人捕虜を解放しました。

ソ連とキューバは、ナイジェリア経由で武器支援を強化し、空爆用のイリューシンIl-14機を提供しました。

1973年1月、アミルカル・カブラルが暗殺されるという悲劇に見舞われました。しかし、PAIGCは動揺することなく、同年9月24日にギニアビサウの独立を一方的に宣言しました。11月の国連総会では、ポルトガルによる不当な暴力と占領が非難され、完全な主権獲得と、ポルトガルによる承認に先立ち国連による独立承認がなされました。

ポルトガル領ギニアの戦況はポルトガル軍に有利に傾き始めていましたが、本国のリスボン政府は財政破綻の危機に瀕していました。1974年のカーネーション革命後、ポルトガル政府はPAIGCとの交渉を開始し、9月10日に独立を承認しました。アミルカル・カブラルの弟であるルイス・カブラルが初代大統領に就任しました。

11年に及ぶ戦争で、1,875人のポルトガル兵と約6,000人のPAIGC兵が命を落としました。

独立後

ギニアビサウの独立後、PAIGCはギニアビサウとカーボベルデにおける唯一の合法政党となり、ルイス・カブラルが大統領に就任しました。PAIGCはギニアビサウとカーボベルデの統一を目指しましたが、1980年にジョアン・ヴィエイラが主導した軍事クーデターにより、カーボベルデ出身のカブラル大統領が失脚し、統一計画は頓挫しました。クーデターの翌年、1981年にはPAIGCのカーボベルデ支部が、カーボベルデ独立アフリカ党(PAICV)として分離しました。

PAIGCの青年組織はアミルカル・カブラル青年団 (Juventude Africana Amilcar Cabral)、女性組織はギニア女性民主連合(União Democrática das Mulheres da Guiné)と呼ばれています。

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