ギブソン・SG

ギブソンSG：ロックの歴史を彩る名器

1961年、ギブソン社はエレクトリックギターの新たな歴史を刻むモデルを発表しました。それが、今日まで多くのミュージシャンを魅了し続けるSGです。「SG」とは「ソリッドギター」の略称で、その名の通り、ソリッドボディを持つエレクトリックギターとして設計されました。

レスポールからの進化とSGの誕生

SGの誕生は、それまでのレスポールモデルとの密接な関係抜きには語れません。1950年代後半、ギブソン社はレスポールモデルの廉価版としてジュニア、スペシャル、TVモデルなどを発表していました。これらのモデルの一部は、1959年後半からレスポール名を外し、「SG」として販売されるようになります。

そして1961年、レスポールシリーズ全体がフルモデルチェンジ。「レスポール」の名称は継承せず、より洗練され、小型軽量化されたSGが正式にデビューしました。マホガニーの一枚板ボディ、ボディ全体がくり抜かれたダブルカッタウェイデザイン、ベベルドエッジと呼ばれるボディエッジの斜めカットなど、革新的なデザインは、演奏性とコスト削減を両立させていました。また、多くのモデルにはスウィング・アウェイ・プル・サイドウェイ・トレモロと呼ばれるビブラートユニットが搭載されました。

しかし、このSGは当初、「新型レスポール」として発売された経緯があります。しかし、レス・ポール氏自身は、このギブソン社独自のデザインを自身のモデルとして承認しませんでした。そのため、1963年頃にレス・ポール氏との契約が終了すると、このギターは完全に「SG」という名称で呼ばれるようになりました。

多様なバリエーションと進化

SGは、スタンダード、カスタム、ジュニア、スペシャル、そしてメロディーメーカーやベースモデルなど、様々なバリエーションを展開してきました。それぞれのモデルは、ピックアップの種類、搭載されるビブラートユニット、ボディカラー、仕上げなど、様々な違いを持っています。

SGスタンダードは、チェリーレッドを基調としたカラーが特徴で、「PAF」ハムバッカーピックアップを搭載したモデルが初期の代表です。ギブソンカスタムショップでは、1961年モデルを忠実に再現したリイシューモデルも発表されています。

SGカスタムは、レスポールカスタムの流れを汲む上位機種です。ホワイトボディにゴールドハードウェア、マルチバインディング、エボニー指板など、豪華な仕様が魅力です。

SGジュニアは、シンプルな構造とP-90ピックアップによる独特のサウンドが特徴です。TVイエローのモデルも存在します。

SGスペシャルは、SGという名称を最初に冠したモデルです。初期はP-90ピックアップ2基搭載でしたが、後にハムバッカー搭載モデルも登場し、現在でも人気のモデルです。

さらに、SG-Pro、The SG、SG-1/2/3、SGロボットギターなど、時代とともに様々なモデルが発表されました。近年でも、SG'61リイシュー、SGシュプリーム、SG Zoot Suitなど、伝統を受け継ぎながら革新的なモデルが登場し続けています。

SGとミュージシャン

SGは、その独特のサウンドと演奏性から、多くの著名なミュージシャンに愛用されてきました。

AC/DC|AC_DCのアンガス・ヤング、ブラック・サバスのトニー・アイオミ、サンタナ、フランク・ザッパ、クリームのエリック・クラプトン、ビートルズのジョージ・ハリスン、オールマン・ブラザーズ・バンドのディッキー・ベッツ、ザ・フーのピート・タウンゼント、ドアーズのロビー・クリーガー、そしてU2のエッジなど、数えきれないほどのアーティストがSGをステージやレコーディングで使用し、その名を世界中に知らしめました。

揺るぎない存在感

発売以来、幾度となく改良やバリエーションを増やしつつも、SGは常に進化を続け、現代においてもギブソン社の主力モデルとして生産されています。その歴史と伝統、そして多くのミュージシャンとの深い関わりによって、SGはロック史に不可欠な存在として、これからもその地位を揺るぎないものにしていくでしょう。

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