ギヤースッディーン・トゥグルク

ギヤースッディーン・トゥグルク：デリー・スルターン朝の創始者

ギヤースッディーン・トゥグルクは、1320年から1325年にかけて北インドのデリー・スルターン朝、トゥグルク朝の君主であり、同王朝の創始者でもあります。彼が築いた王朝は、デリーの歴史において重要な役割を果たしました。

生い立ち

トゥグルク朝の創始者であるギヤースッディーン・トゥグルク、もと名はガーズィー・マリクは、トルコ系とモンゴル系の混血であり、13世紀後半に北インドで生まれました。彼の身分は低く、かつての奴隷王朝の時代において生を受けました。その生涯初期には、名高い君主ギヤースッディーン・バルバンのもとで下級官吏として職務に尽力しました。

ハルジー朝との関係

彼の軍事的才能は、ハルジー朝の王アラー・ウディーン・ムハンマド・シャーのもとで発揮されました。彼は北西方面のモンゴル勢力との戦闘に従事し、29回もの勝利を収めるという功績を残しました。この戦いを通じて、彼は非常に名声を高めていきました。

王位の獲得

1320年、ハルジー朝に内乱が勃発し、クトゥブッディーン・ムバーラク・シャーが殺害されました。この混乱を利用したギヤースッディーンは、反乱者ホスロー・ハーンを排除してデリーを掌握し、トゥグルク朝を創設しました。彼は自らをギヤースッディーン・トゥグルクと名乗り、新たな王朝の支配者となったのです。

建設事業

彼の治世においては、デリーに壮大な城塞都市トゥグルカーバードが建立されました。この都市は、現在のニューデリーの南郊にあたります。トゥグルクは、住民の生活を支えるために、大規模な城塞や用水路の建設を進め、都市の発展に寄与しました。

遠征と征服

1323年、ギヤースッディーンは息子のウルグ・ハーンをデカン地方及び南インドへの遠征に派遣しました。この侵攻により、カーカティーヤ朝やパーンディヤ朝を打倒し、南インドの領土を拡大しました。また、1324年には離反していたベンガルを征服する意図で遠征し、北ビハールに侵攻していたティルフット王国を滅ぼしました。

終焉

最晩年の1325年、ギヤースッディーンはデリーに帰還した際、息子ウルグ・ハーンによって建てられた祝賀の建物が倒壊し、そのショックで崩御したとされています。彼の死後、息子のウルグ・ハーンはムハンマド・ビン・トゥグルクとして即位し、トゥグルク朝の第二代君主となりました。

まとめ

トゥグルク朝の創始者ギヤースッディーン・トゥグルクは、同朝を発展させるために多くの戦略を講じ、大規模な建設事業を行い、また南インドへの遠征を通じて領土を拡大しました。彼の治世は、デリー・スルターン朝の歴史において重要な要素となっており、彼の名は今でも歴史に刻まれています。

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