ギヨーム2世・ド・ヴィルアルドゥアン

ギヨーム2世・ド・ヴィルアルドゥアン：アカイア公国の盛衰を象徴する君主

ギヨーム2世・ド・ヴィルアルドゥアン（1211年頃 - 1278年）は、第4代アカイア公として知られ、その治世はアカイア公国の最盛期と衰退の始まりを象徴しています。彼はギリシアで生まれ育ち、フランス語とギリシア語を自由に操る教養人でした。

生涯

ギヨーム2世は、1248年にモネンヴァシアを陥落させ、ペロポネソス半島全土をほぼ征服しました。彼はタイゲトス山脈にミストラス城を築き、マニ地方に「大マニ城」を建設するなど、領土の防衛を強化しました。これらの築城事業は、アカイア公国の絶頂期を飾るものでした。首都アンドルヴィルでは宮廷文化が花開き、フランス文化が浸透しました。

ギヨーム2世は3度の結婚を経験し、3番目の妻アンナとの間に2人の娘をもうけました。1258年、アンナとの結婚を機に、ニカイア帝国に対抗するため、エピロス専制公国やシチリア王国と同盟を結びました。しかし、この同盟が彼の運命を大きく左右することになります。

ペラゴニアの戦いと没落

1259年、ペラゴニアの戦いで、ギヨーム2世はニカイア帝国軍に大敗を喫し、捕虜となってしまいます。彼はコンスタンティノポリスで2年間幽閉され、解放の条件としてミストラスなど4つの要塞をニカイア帝国に割譲しました。この敗北は、アカイア公国にとって大きな痛手となり、フランス人騎士層の減少を招き、東ローマ帝国への領土割譲は、その後の衰退の始まりとなりました。

アンジュー家との同盟

失地回復のため、ギヨーム2世はシャルル・ダンジュー（カルロ1世）との同盟を決断しました。1267年のヴィテルボ協定により、ギヨーム2世はシャルルに臣従し、娘イザベルとシャルルの息子フィリップを結婚させることなどを定めました。これにより、アカイア公国はアンジュー家の影響下に入り、シャルルは東ローマ帝国再征服の野望を抱くことになりました。

ギヨーム2世は1278年5月1日にカラマタ城で死去しました。彼の死後、アカイア公国はシャルル・ダンジューが継承し、その後の歴史はアンジュー家の思惑に翻弄されることになります。

家族構成

最初の妻：ナルジョ・ド・トゥシーの娘（子なし）
2番目の妻：カリンターナ・ダッレ・カルチェリ（子なし）
3番目の妻：アンナ（ミハイル2世ドゥカスの娘）
イザベル・ド・ヴィルアルドゥアン
* マルグリット・ド・ヴィルアルドゥアン

ギヨーム2世の遺産

ギヨーム2世の治世は、アカイア公国の最盛期であると同時に、その後の衰退の始まりでもありました。彼の築城事業や文化振興は公国の繁栄をもたらしましたが、ペラゴニアの戦いでの敗北やアンジュー家との同盟は、公国の命運を大きく変えることになりました。彼は、アカイア公国の盛衰を象徴する人物として、歴史に名を刻んでいます。

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