ギリアム (攻撃輸送艦)

USSギリアム(APA-57)とは

USSギリアム（USS Gilliam(APA-57)）は、アメリカ海軍のギリアム級攻撃輸送艦のネームシップであり、オレゴン州ギリアム郡にその名が由来します。

艦歴

第二次世界大戦

ギリアムはアメリカ海事委員会の契約下、カリフォルニア州ウィルミントンのコンソリデーテッド・スチール造船所にて起工されました。1944年7月31日にアメリカ海軍に取得され、同年8月1日に就役しました。

1944年10月から11月にかけて、ギリアムはアメリカ陸軍兵士750名を乗せてサンフランシスコを出発し、オロ湾へ移動。その後、第11空挺師団1000名を乗せて1週間かけてレイテ島へと送り届け、11月22日にニューギニアのフンボルト湾へと帰還しました。

11月29日、ギリアムは再びレイテ湾へ向かい、陸軍第6軍の兵員を乗せてリンガエン湾へ輸送しました。

航空攻撃

1944年12月5日、ギリアムは船団の一部としてフィリピンへ向かう途中、レイテ湾から約160km沖で日本軍の攻撃を受けました。

12時18分、ギリアムは船団の中央を低空飛行する日本雷撃機を発見し応戦しましたが、魚雷はリバティ船アントワーヌ・ソーグレインに命中。さらに12時30分には、2機の雷撃機が低空飛行で魚雷を別のリバティ船に命中させました。

15時30分、特攻機が対空砲火をかいくぐり、リバティ船マーカス・デーリーの船首に命中し炎上。続いて2機目の特攻機が船団への攻撃を試みましたが撃墜されました。この攻撃でマーカス・デーリーは大きく損傷し、アントワーヌ・ソーグレインは沈没しました。ギリアムはレイテ侵攻作戦において12時間総員配置で対空攻撃を行い、同年12月6日に無傷でレイテ島へ到着しました。

ルソン島侵攻から沖縄戦

レイテで空襲警報が続く中、ギリアムは負傷兵の受け入れを行いました。1945年1月7日、タクロバンから500名の兵員を乗せ、リンガエン湾へ向け出港。

1月14日にレイテへ戻り、第32歩兵師団の兵士をリンガエン湾に送り届けました。負傷兵を乗せてレイテに到着後、1945年2月2日にガダルカナル島でアメリカ海兵隊第3海兵遠征軍と共に沖縄戦の準備として演習作戦を実施しました。

その後、4月1日に沖縄へ向かい、特攻隊による攻撃に晒されながらも第3海兵遠征軍偵察部隊や物資を上陸させました。

4月5日にギリアムはサイパンと真珠湾を経由してアメリカ本土へ到着し、サンフランシスコで修理のため乾ドックに入りました。修理完了後、カリフォルニア州ポート・ワイミニでアメリカ海兵隊第6工兵支援大隊を乗せ、エニウェトク環礁とウルシー環礁を経由して沖縄へ向かい、沖縄戦を支援した後、サンフランシスコへ帰投しました。

戦後

1945年8月10日、ギリアムはサンフランシスコで1000名の兵士を乗せ、真珠湾へ出港。8月27日に到着後、第5海兵遠征軍と任務機動部隊司令官を乗せ、日本占領のため佐世保へ向かい兵員を上陸させました。

1945年9月25日、ギリアムはマニラへ向かい、リンガエン湾で450名を超える第33歩兵師団員を乗せて同年10月15日に佐世保市へと送り届けました。

同年10月29日、セブ島へ戻ったギリアムはマジックカーペット作戦に参加。1000名の兵士及び水兵をオレゴン州ポートランドへ帰還させました。

クロスロード作戦

サマール島への航海ののち、ギリアムは1946年2月16日に真珠湾で係留され、ビキニ環礁で行われるクロスロード作戦の標的艦として参加するための準備が進められました。

ビキニ環礁にてギリアムは、エイブル作戦の投下目標である戦艦ネバダの後方に配置されました。1946年7月1日朝、エイブル実験において核弾頭のギルダ（Gilda）がギリアムから45m地点で爆発。ギリアムは爆風により壊滅的な被害を受け、1分以内に沈没しました。

1946年7月5日に退役し、7月20日にアメリカ海軍船籍簿から除外されました。

ギリアムは第二次世界大戦中に3つのバトルスターと2つの海軍占領功労章を日本占領中に受賞しました。

艦長

ハンス・B・オルセン（Hans B. Olsen）中佐 - 1944年8月1日
ヴィンセント・C・リンドグレン（Vincent C. Lindgren）少佐 - 1945年10月2日
スタンディッシュ・J・ブラッドフォード（Standish J. Bradford）大尉 - 1945年12月17日
デルバート・F・ウィリアムソン（Delbert F. Williamson）大佐 - 1945年12月18日

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