ギリシャの地方行政区画

ギリシャの地方行政区分

ギリシャは、2010年のカリクラティス改革によって地方行政制度が大きく変貌しました。この改革により、行政区画は再編され、現在の地方行政構造が確立されました。本稿では、ギリシャの地方行政区分と、その歴史的変遷について解説します。

地方行政の階層構造

ギリシャの地方行政は、大きく3つの階層で構成されています。

1. ペリフェリア（περιφέρεια / periféria）: 広域自治体で、「地方」と訳されます。本土9つ、島嶼部4つの計13のペリフェリアが存在します。ペリフェリア知事とペリフェリア議会は、5年ごとに選挙で選ばれます。
2. ペリフェリアキ・エノティタ（περιφερειακή ενότητα / periferiaki enotita）: ペリフェリアの下位区分で、「県」に相当します。旧制度のノモスに相当しますが、カリクラティス改革によって行政区分となりました。74のペリフェリアキ・エノティタが存在します。
3. ディモス（δήμος / dímos）: 基礎自治体で、「市」と訳されます。市長と市議会によって運営され、全国に325のディモスがあります。ディモスはさらに、ディモティキ・エノティタ、ディモティキ・キノティタ、トピキ・キノティタに細分化されます。

特殊な地域：アトス自治修道士共和国

中央マケドニア南部のアトス山には、アトス自治修道士共和国があります。ギリシャ正教修道士による特別な自治が認められており、一般的な地方行政制度の管轄外に置かれています。

地方行政制度の変遷

ギリシャの地方行政制度は、独立以来何度も改革が行われてきました。

独立から20世紀末まで

ギリシャ独立戦争後の1828年、最初の行政区画が制定されました。その後、1833年には地方行政制度が整備され、ノモス（県）、エパルヒア（郡）、ディモス（市）の3階層構造が確立されました。その後も、領土拡大や社会情勢の変化に伴い、何度も改編が繰り返されました。

カポディストリアス改革（1997年）

1997年には、「カポディストリアス改革」が行われ、基礎自治体の数は1034に整理されました。

カリクラティス改革（2010年）

2010年の「カリクラティス改革」は、地方行政制度を大きく変えた画期的な改革でした。ペリフェリア知事を住民選出とし、ノモスを廃止してペリフェリアキ・エノティタを設け、基礎自治体の数を325に削減しました。この改革は、地方分権の推進と経済危機対策を目的としていました。

その他の行政区画

* Apokentroménes dioikíseis（分権管区）: 1～3のペリフェリアを管轄する中央政府機関です。

かつて使われた行政区画

カリクラティス改革以前は、ノモス、エパルヒアなどが地方行政区分として存在していましたが、現在は廃止されています。また、「地理的な地方」という区分もありましたが、これは地域名称として使われる程度です。

まとめ

ギリシャの地方行政制度は、歴史的経緯や社会情勢を反映して、幾度も改革が行われてきました。カリクラティス改革によって現在の地方行政構造が確立されましたが、その歴史的変遷を理解することで、現在の地方行政の仕組みをより深く理解することができます。特に、地方分権の強化や効率的な行政運営を目指す改革の経緯と、それによって生じた変化を把握することが重要です。 今後の改革も視野に入れ、ギリシャの地方行政制度の動向に注目していく必要があります。

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