ナヴァリノの海戦

ナヴァリノの海戦：ギリシャ独立を決定づけた激戦

ナヴァリノの海戦は、1827年10月27日に地中海のナヴァリノ湾で起こった、ギリシャ独立戦争における重要な海戦です。イギリス、フランス、ロシアの連合艦隊が、オスマン帝国（トルコ）とエジプトの連合艦隊を打ち破り、ギリシャ独立への道を切り開きました。

背景：ギリシャ独立戦争と列強の思惑

当時、ギリシャはオスマン帝国の支配下にあり、独立を求めて立ち上がっていました。このギリシャ独立戦争は、ヨーロッパ諸国で大きな関心を集め、特にイギリスとフランスでは国民的な支持を得ていました。ロシアは、長年トルコとの関係が悪化しており、さらにギリシャとは同じ正教国という宗教的な繋がりもあり、ギリシャに同情的でした。こうした背景から、イギリス、フランス、ロシアはギリシャ独立戦争に介入し、ギリシャ側を支援するために連合艦隊を派遣しました。

戦いの経緯：圧倒的な戦力差と不意打ち

一方、トルコ側は海上封鎖を行い、本国軍に加えて事実上の植民地軍であったエジプト軍を動員して防衛にあたりました。トルコ・エジプト連合艦隊は、ナヴァリノ湾に集結し、徹底抗戦の構えを見せました。この連合艦隊は、当時のエジプト総督であったイブラーヒーム・パシャが率いていました。

連合艦隊の規模は、英仏露側が戦列艦11隻、フリゲート艦9隻、小型艦4隻に対し、トルコ・エジプト側は戦列艦3隻、フリゲート艦15隻、小型艦50隻以上と、数ではトルコ・エジプト側が上回っていました。しかし、トルコ・エジプト側の艦艇は小型で武装も貧弱であり、英仏露側の戦力は圧倒的に優れていました。

当初、英仏露連合軍は戦闘を予定しておらず、トルコの砲台の前を通過してトルコ・エジプト軍と交渉しようとしていました。ところが、トルコ・エジプト連合軍が英仏露連合軍に対して先制攻撃を仕掛けたため、英仏露軍は反撃を開始しました。

戦闘の経過：一方的な砲撃戦

戦闘が始まると、英仏の砲撃性能が圧倒的に高かったため、トルコ・エジプト連合軍は自軍の艦艇を自沈させたり、火を放って焦土作戦を行うしかありませんでした。数時間のうちに、トルコ・エジプト軍の艦艇は次々と撃沈され、壊滅的な打撃を受けました。一方、英仏露軍の艦艇はほとんど無傷でした。

戦いの結果：ギリシャ独立への転換点

ナヴァリノの海戦は、英仏露連合軍の大勝利に終わりました。この戦いで、英仏露連合軍は700人の死傷者を出したのに対し、トルコ・エジプト連合軍は4,000人もの死傷者を出し、艦艇60隻が撃沈されました。トルコ・エジプト連合軍はこの敗北により、ギリシャからの撤退を開始し、ギリシャ独立戦争の戦局は一気にギリシャ側へと有利に転換しました。そして、この海戦がギリシャ独立戦争の勝利、ひいてはギリシャの独立へと繋がっていったのです。

ナヴァリノの海戦は、ギリシャ独立という歴史的な転換点において、重要な役割を果たした戦いとして記憶されています。

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