ギルガル

ギルガル

ギルガル（英: Gilgal）は、旧約聖書によるとイスラエル人がヨルダン川を渡った後に最初に陣を張った場所として知られています。この地は、ヨルダン川とエリコの中間に位置していると考えられ、現在のジルジリアがその当時のギルガルであるとの有力な説があります。しかし、その正確な位置に関しては異なる見解も存在しています。

イスラエル人はこの場所に、ヨルダン川渡渉の象徴として12個の石を立てました。この行為は、神の導きを記念する重要な儀式でした。また、指導者ヨシュアは新たな世代に割礼を施し、カナンで最初の過越のいけにえを捧げたとされます。これらの出来事は、ギルガルがイスラエルの征服活動の拠点となることを示しています。

士師の時代には、主の使いがギルガルからボキムへと上ってきたことが記録されています。また、サムエルは毎年、ベテル、ギルガル、ミツパを巡回し、民の指導を行いました。イスラエルの初代王サウルはギルガルにおいて王位を授与されましたが、彼はこの地で2度の重大な過ちを犯し、その結果、王位を剥奪されることとなりました。

その後、アブシャロムの死を受けて、ユダ族の代表はギルガルに集まり、ダビデを再び迎え入れるために訪れました。このように、ギルガルはイスラエルの歴史の中で重要な役割を果たしてきました。

また、預言者エリヤとエリシャの時代には、ギルガルに預言者の学校が設立され、神の言葉を学ぶ場として機能していました。エリヤは昇天する前にギルガルを出発してベテルへと下り、エリシャはその後この地に戻り、毒の入った煮物を改善するという奇跡を行いました。この出来事は、ギルガルが神の力が働く場所であったことを示す一つのエピソードです。

しかし、時が経つにつれて、ギルガルは偶像礼拝の中心地へと変貌を遂げ、預言者たちから厳しい叱責を受けることになります。このように、ギルガルは初めは神の契約と奇跡に満ちた地であったものの、次第に人々の信仰から離れていく様子を反映しています。

ギルガルは翻弄された歴史を持つ地であるため、聖書の中での位置づけは複雑です。旧約聖書におけるその役割を理解することで、信仰の歴史や文化的背景に深く触れることができるでしょう。

引用文献：『新聖書辞典』いのちのことば社、1985年

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