ギルド・マホネス

ギルド・マホネス

ギルド・マホネス（Gildo Mahones、1929年6月2日 - 2018年4月27日）は、アメリカ合衆国出身の優れたジャズ・ピアニストです。ニューヨーク市で生まれた彼は、その長いキャリアを通じて、数多くの著名ミュージシャンと共演し、ジャズシーンの重要な一員として活躍しました。

略歴

マホネスの音楽キャリアは、活動初期から活発でした。若くして、トランペット奏者のジョー・モリスや、モダンジャズのヴィブラフォン奏者であるミルト・ジャクソンといった当時の実力派アーティストたちと演奏を共にしました。これらの初期の経験は、彼のピアニストとしての基礎を築く上で重要な役割を果たしました。

朝鮮戦争に従軍した期間中も、彼は軍隊内で音楽活動を続けました。除隊後の1953年から1956年にかけては、テナーサックスの巨匠レスター・ヤングのグループに参加し、その円熟した音楽世界に深く関わる機会を得ました。この時期の共演は、彼の演奏スタイルにも大きな影響を与えたと考えられています。

1950年代後半、マホネスはさらに多方面での活動を展開します。サックス奏者チャーリー・ラウズやフレンチホルン奏者ジュリアス・ワトキンスらと共に結成した「ジャズ・モーズ」では、洗練されたアレンジとアンサンブルで注目を集めました。また、ハードバップを代表するサックス奏者のソニー・スティットやトロンボーン奏者のベニー・グリーンといったミュージシャンたちとも共にツアーを行い、その実力を広く知らしめました。

彼のキャリアにおける最も著名な時期の一つは、1959年から1964年にかけてです。この間、ギルド・マホネスは、革新的なヴォーカルグループとして人気を博したランバート、ヘンドリックス&ロス（後に一部メンバーが交代しランバート、ヘンドリックス&ベヴァンとなる）のバックバンドで、中心的なピアニストを務めました。デイヴ・ランバート、ジョン・ヘンドリックスらによる複雑かつ技巧的なヴォーカルアレンジを、的確で安定した演奏で支え、グループのサウンドに貢献しました。この時期の活動を通じて、彼の名はより多くのジャズファンに知られることとなりました。

ランバート、ヘンドリックス&ロスが解散した後、マホネスはアメリカ西海岸のロサンゼルスに移り住みました。ここでは、引き続きジャズのサイドマンとして、またスタジオ・ミュージシャンとしても非常に多忙な生活を送りました。彼は自身のピアノトリオを率いて活動する一方で、数多くのレコーディングセッションに参加しました。その共演者リストには、ジェームス・ムーディ、ハロルド・ランド、ブルー・ミッチェル、ジム・ホール、ビッグ・ジョー・ターナー、ベニー・カーター、ポニー・ポインデクスター、ブッカー・アーヴィン、ジミー・ウィザースプーンなど、ジャズやブルース界の巨匠たちが名を連ねており、彼の幅広い適応能力と信頼性の高さを物語っています。

ディスコグラフィ

ギルド・マホネスは、自身のリーダー名義でも作品を発表しています。特に1960年代には、プレスティッジ・レーベルから『アイム・シューティング・ハイ』（1963年）や『ザ・グレート・ギルド』（1964年）といったリーダー作をリリースし、自身のピアノプレイと音楽的アイデアを披露しました。さらに後年の1990年には、『ギルド・マホネス・トリオ』（インタープレイ）を発表しています。

彼のキャリアにおいて特筆すべきは、サイドマンとして参加した膨大な数のアルバムです。前述した数多くのアーティストたちのリーダー作に、彼のピアノは欠かせない彩りを添えています。ベニー・グリーンやジョン・ヘンドリックスといった50年代後半の録音から、ジュリアス・ワトキンス&チャーリー・ラウズ（ジャズ・モーズ）との諸作、そしてランバート、ヘンドリックス&ロスの歴史的録音に至るまで、彼の貢献は多岐にわたります。また、ポニー・ポインデクスター、テッド・カーソン、ケニー・バレル、フランク・ウェス、ブッカー・アーヴィン、ジミー・ウィザースプーンなど、ジャンルを超えた多様なセッションに参加しており、そのディスコグラフィは彼の活躍の幅広さを示しています。

以下に、彼のリーダーアルバムおよび主な参加アルバムの一部を挙げます。

リーダー・アルバム

『アイム・シューティング・ハイ』 (I'm Shooting High) (1963年、Prestige)
The Great Gildo (1964年、Prestige)
Gildo Mahones Trio (1990年、Interplay)

主な参加アルバム

ベニー・グリーン: 『ウォーキン&トーキン』 (Walkin' & Talkin') (1959年、Blue Note)
ジョン・ヘンドリックス: 『ア・グッド・ギット・トゥゲザー』 (A Good Git-Together) (1959年、Pacific Jazz)
ジュリアス・ワトキンス & チャーリー・ラウズ (ジャズ・モーズ): 『レ・ジャズ・モード』 (Les Jazz Modes) (1957年、Dawn) ほか
ランバート、ヘンドリックス&ロス: 『ザ・ホテスト・ニュー・グループ・イン・ジャズ』 (The Hottest New Group in Jazz) (1960年、Columbia) ほか
ポニー・ポインデクスター: 『ポニーズ・エクスプレス』 (Pony's Express) (1962年、Epic) ほか
テッド・カーソン: 『ファイアー・ダウン・ビロウ』 (Ted Curson Plays Fire Down Below) (1962年、Prestige)
ケニー・バレル: Bluesy Burrell (1963年、Moodsville)
ジミー・ウィザースプーン: Baby, Baby, Baby (1963年、Prestige) ほか
ブッカー・アーヴィン: 『ザ・ブルース・ブック』 (The Blues Book) (1964年、Prestige) ほか
* ビル・コスビー: Badfoot Brown & the Bunions Bradford Funeral & Marching Band (1971年、Uni) ほか

ギルド・マホネスは、2018年4月27日に88歳でこの世を去りました。彼の残した録音は、ジャズの多様な側面を支えた優れたピアニストとしての功績を今に伝えています。

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