クアウテモク・カルデナス

クアウテモク・カルデナス・ソロルサノ

クアウテモク・カルデナス・ソロルサノ（Cuauhtémoc Cárdenas Solórzano）は1934年5月1日にメキシコシティで生まれた著名なメキシコの政治家です。彼は、メキシコシティの市長が公選制で選出されるようになった際、最初の市長として1997年から1999年にかけてその職を務めました。また、左派の民主革命党（PRD）の創設にも関与し、メキシコの大統領に3度立候補しましたが、その全てで当選は果たせませんでした。

経歴

クアウテモク・カルデナスは、彭タリオラサロ・カルデナスの息子として、メキシコの大統領官邸であるロス・ピノスで育ちました。彼は1957年にメキシコ国立自治大学から土木工学の学位を取得後、フランスとドイツへの留学を経て、技術者としてのキャリアをスタートさせました。1961年には左派政党の国民解放運動に参加し、1960年代にはラサロ・カルデナス鉄鋼会社の理事も務めました。

1970年代には、制度的革命党（PRI）の一員として活動し、1976年には連邦議会の上院議員に選出され、農務省の林業次官としても、その後も重要な役割を担っていました。特に1980年から1986年までは、父の故郷であるミチョアカン州の州知事を務め、地元の発展に寄与しました。

1987年、彼は制度的革命党を離脱し、1988年には左派の国民民主戦線（FDN）を設立。大統領選挙にも出馬しましたが、選挙管理当局が集計を突然中断し、制度的革命党の候補者に勝利が宣言されたことに疑問を呈し、抗議活動を展開しました。この経緯が、彼が民主革命党を組織する契機となりました。

市長としての業績

1997年、メキシコシティの市長が初めて選挙で選ばれることになり、カルデナスはこの選挙に立候補しました。彼は、それまでの制度的革命党の市長がもたらした貧困や汚職、犯罪、環境問題に反対する立場を明確にし、7月6日の投票で47%という得票率を獲得して市長に当選しました。これは、1929年のPRI設立以来、野党が勝利を収めた歴史的な瞬間でした。

市長在任中、カルデナスは水道施設の改善や無償の教科書配布を進めましたが、選挙公約の多くは実現できず、次第に市民の信頼を失っていきました。特に大気汚染や犯罪の問題に対する対策が不十分であったことは、彼の市長としての評価に悪影響を及ぼしました。

政治活動のその後

1999年、カルデナスは市長を辞任し、翌年の大統領選挙に出馬しましたが、国民行動党のビセンテ・フォックスに敗れ、またしても大統領職の獲得には至りませんでした。この選挙は、制度的革命党にとって初の敗北でもありました。カルデナスはフォックス政権に対しても批判的でした。

2010年には、メキシコ革命100周年記念式典の調整役を務めましたが、2006年には辞任しました。また、同年の大統領選にも出馬を試みましたが、党からアンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドールが指名されたため、その願いは叶いませんでした。

彼はその後も民主革命党の中心的なメンバーとして活動を続けましたが、2014年に党を離脱しました。2011年には、連邦議会上院からベリサリオ・ドミンゲス・メダルを授与されており、政治家としての功績が評価されています。最近では、2020年9月にCOVID-19に感染したと報道され、その健康状態が危惧されています。

カルデナスの政治的な活動や事績は、メキシコの政治において重要な足跡を残しており、今後の政治にも影響を与え続けることでしょう。

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