クインジ美術館

クインジ美術館：アルヒープ・クインジの生涯と作品を讃えた美術館

クインジ美術館（ウクライナ語: Художній музей імені Куїнджі）は、ウクライナのマリウポリに位置していた美術館です。この美術館は、マリウポリ出身の著名な画家、アルヒープ・クインジの作品と生涯に焦点を当てた展示を行っていました。2010年10月30日に開館しましたが、2022年3月21日の空爆により破壊され、その短い歴史に幕を閉じました。

美術館の歴史

クインジ美術館の構想は、1914年にアルヒープ・クインジを記念する美術館として始まりました。クインジ芸術家協会からは作品の寄贈が提案されたものの、第一次世界大戦の勃発により計画は一時中断されました。戦後、1960年代に美術館建設の機運が再燃しましたが、資金難により頓挫し、代わりにクインジ展示センターが設立されました。しかし、1997年に建物の寄贈を受けたことで計画は再開し、2008年から改修工事を経て、2010年にマリウポリ郷土史博物館の分館として開館に至りました。

美術館は、クインジ生誕175周年を記念した展示（2015年）や、駐ウクライナフランス大使による訪問（2019年）など、活発な活動を行っていましたが、2022年3月21日、ロシアによるウクライナ侵攻に伴うマリウポリの戦いの中で空爆を受け、建物は破壊されました。当時、美術館にはクインジのオリジナル作品は所蔵されていませんでしたが、他の多くの芸術家の作品が失われました。

美術館の施設

美術館の建物は、1902年に建てられたアール・ヌーヴォー様式の歴史的な建造物を改装したものでした。この建物は、元々マリウポリゼムストヴォの長官が娘の結婚祝いに贈ったもので、その後、ソ連時代には図書館や政党の文書館として利用され、第二次世界大戦中はドイツ軍に占領されるも破壊を免れ、戦後は薬局の倉庫として使用されました。1997年、マリウポリ市議会は、この建物を歴史的建造物として保存し、アートギャラリーとして活用することを決定し、2008年から地元の会社によって改修が行われ、2010年、美術館として再出発を果たしました。

コレクションと研究

クインジ美術館は、約650点の油絵、960点の絵画作品、150点の彫刻、そして約300点の装飾・応用芸術作品を所蔵していました。コレクションの大部分は、マリウポリ郷土史博物館が20世紀以降に収集したものでした。美術館の開館時には、クインジの作品のデジタルコピーや、19世紀・20世紀の歴史的建造物の展示も行われました。

美術館には、クインジのオリジナル作品として、『ドニエプル川の赤い夕日』、『秋、クリミア』、『エルブルス山』のスケッチと複製画がありました。これらの作品は、1960年代にロシア美術館から寄贈されたものでしたが、2022年の空爆の際に、その行方が分からなくなっています。

また、美術館ではクインジの生涯に関する資料、例えば1841年発行の誕生証明書なども収集しており、クインジの生年を1841年とする証拠を提示していました。しかし、この説には異論もあり、議論の対象となっていました。この美術館では、クインジの他にも、ビクトリア・コワルチュク、イヴァン・アイヴァゾフスキー、ヴァシーリー・ヴェレシチャーギン、イヴァン・シーシキンなどの芸術家に関する資料も収集していました。

美術館は空爆により破壊され、所蔵品は散逸し、多くの芸術作品が失われたと考えられています。この美術館の喪失は、美術史と文化にとって大きな損失であると言えるでしょう。

ギャラリー

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（画像3）

注釈

[脚注]

外部リンク

YouTubeVideoId1'>YouTube、アルヒープ・クインジ、バーチャル美術館ツアー part 1 - YouTube
Kuindzhi Art Museum, Mariupol - 詳細と写真

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